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98/202

*1



「小山田さん、美香に会ったって?」


杉田課長が、ぼそっと耳打ちしてくる。私も改めて、こくりと頷いた。


「とてもお美しい方でした」


「ああ。あいつ、ミスキャンパスになったこともあるからな」


ええ! まじか。すげー。


「杉田課長もお知り合いなんですか?」


ピンポーンとチャイムが鳴って、待っていたエレベーターが来たので、一緒に乗り込む。


1階のボタンを押した。


「まあね。今でも病院の受付してるんかね? でもとにかくあいつには気をつけた方がいい」


「なんでですか?」


「最初、坂崎にお熱だったんだけどな、有力候補だからっつって若狭に乗り換えたんだ」


えええー。ここにも性悪の存在が!?


「いや! でも俺ら誰もあいつと付き合ってないからな。安心してよ。みんな相手にしてなかったから」


「でも坂崎課長の元カノって豪語してましたが……?」


「ないない。1ミリも付き合ってないから。いつまで経っても治らねえなあ、あの妄想癖は」


ゔ。(←他人のことは言えない妄想癖あり。でも人には言ってないからセーフ( ´∀`))


「まあ小山田さんはさ、気をつけた方がいい。あいつ、時々粘着だからさ」


「私のようなしがない透明人間を、何らかの相手にすることもないでしょう。大丈夫です。しがないぺんぺん草ですから」


「小山田さんはしがなくないよ」


ずいっと杉田課長が近づいてきて、壁をどん。エレベーター内なので、ぐらっと揺れた。


「わかってないなあ、小山田さんはあ。俺が手取り足取り教えてやりたいよ」


さらにぐいっとくる。杉田課長の顔が被さるように、顔が近付いて。だがしかし、そこでピンポンとチャイムが鳴って、1階に到着。ドアがウィーンと開いた。


そこに坂崎課長の姿が。


「え!! 何やってんの!! 杉田おまえ小山田さんに近づき杉田すきだ!!」


「おいおいテンパるな。俺はただ小山田さんのつむじを観察してただけだ」


「おま!! そんなこと言って、つむじ日記でも書くつもりか!? 小山田さんのつむじは誰のものでもない、離れろっ」


ぐいぃぃっと、坂崎課長が横入りしてきた。ドアが閉まる。私がそっと『開』を押し、ドアがやれやれといった感じで開いた。


「それでは失礼しまーす」


二人の横を通り抜ける。エレベータを降りようとしたら、前に壁があり、バンッとぶつかった。


「うっぷ」


「うわっごめんごめん。降りるとこだった?」


取引先から帰ってきた若狭社長だ。


「申し訳ございません。私、これにて1階で、」


と。


だがそこでドアが横から勢いよく閉まり、そのまま両肩にバンッ。


「あ、はさまっ、へ! 痛っっった」


「大丈夫か!」


「小山田さんっ危ないっっ」


ドアが再度、両横から迫ってくる。

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