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元カノと豪語する柴田美香の怪しすぎな行動



見上げるとそこには、腰に両手をあて、勇ましく立つ女性がいた。


「あれえ? あんたファイブレ好きだったけ?」


「美香」


「なあに? その子、今カノなの?」


美人だ。真っ赤に染めた肩までのストレートヘア。目はくりっと丸く、鼻筋が通っている。魅惑の唇。女の私から見ても、魅力的な女性だった。


課長のお知り合いなのかな。しかも両人、名前呼びだし。ちょっと馴れ馴れしい感じがして、少しだけ苦手な人種かもと思ってしまった。


「彼女とか、そんなんじゃないよ」


課長が慌てて否定する。まあそうでっしゃろ。


「どうだかね! こんにちはあ、初めまして。私、悠の元カノの矢澤美香やざわみかでーす」


「おい! 美香!」


ははん。元カノですか。若干マウント臭を感じますね。(←敏感肌)


「私、坂崎課長と同じしょく」


「同じ職場の人だよ。彼女、ファイブレの大ファンでね。グッズ販売があるから今並んでる最中なんだよ。俺もおかんからファイブレのライブのチケット貰って行ったことがあるから、少し知ってて。で、さっき偶然会って話が合ったからこうして一緒に並んでるんだ。ね?」


自己紹介しようとして遮られた。


弾丸のように喋る課長、珍しいし、なるほど内容からして、話を合わせた方がいいらしい。


私はなんとなく事情を飲み込み、「ですです」と言って、こくりと頷いた。


「へえ。そうなんだあ。職場の人……ねえ。(←ここにも何らかの含みを感じる小山田氏だった)ああ!そういえば孝子さんが電車とぶつかって入院したとかで、勝子さんが代わりにかどや手伝ってるって言ってたわ」


ん? 電車?……と? ぶつか……。


美香さんは、イスに座る私たちをジロリジロリと見ると、「ふーん。なるほどねえ」と言う。


「もういいだろ美香。早く行けよ」


課長の様子がさっきからおかしい。


私も美香さんにちらと視線をやった。いやガッツリ見られてる〜値踏みされてんのかな〜私。


大丈夫です。私、これ以上でもこれ以下でもない、しがないぺんぺん草ですから。


「じゃあね」


さらあっと髪をなびかせて、美香さんはこの場を離れていった。


「元カノさん、美人ですね〜〜」


別にご機嫌を取るとか、そういうつもりで言ったわけじゃない。けれど、課長は「元カノなんかじゃないよ。あいつが勝手にそう言いふらしてるだけで、本当はただの幼馴染だから……」と、言ったっきり、むっつりと黙ってしまった。


(そりゃ坂崎課長クラスになれば、恋人の一人や二人、ややや恋人100人できるかな〜♪ くらいいてもおかしくないからな)


綺麗な人だったな。しかも、ぶりっこじゃない人種。あの様子じゃ、坂崎課長もまんざらではないようだし。

坂崎課長と並べば、きっとお似合いの二人。


こんな風に小さなイスに背中丸めて座ってる自分が、少しだけ恥ずかしく思えてしまい、こめかみを指でぽりぽり掻いた。


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