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95/202

*1



「まさかと思っていたらまさかのことが起こってしまった! 小山田さん、これどうしよう!」


土曜日、繁華街にて。ファイブレグッズ限定販売に並ぶ列列列。早めに来たと思ったのに……すごいな。


「坂崎課長、大丈夫です。想定内です」


肩を並べて最後尾に立つ。すると、小山田さんは大きなバッグから小さな畳めるイスを二つ出して、俺にもどうぞと。


「ありがとう。用意周到だね」


「もちろんです」


次に日傘を出して、パンと開く。そして、俺たちの頭の上にかかげた。


「小山田さんが入ってないよ。もう少しくっつこう。俺が傘持つよ」


ザリザリと音をさせながら、イスをずらした。肩と肩とが触れるか触れないか、ぐらいの距離。


なんとなく嬉しい。


食事会だったはずなのに、なぜこんなグッズ限定販売に並んでいるのかって?


それは話すと長くなる。が、要は小山田さんが誘ってくれたのだ。(←要約)


『お疲れ様です。課長、今度の土曜日ですが、ファイブレお買い物DAYで、テント出すそうなんです。良かったら一緒に行きませんか?』


食事はいつにする? とのお誘いの文句が、先を越された感は否めないが、やったあこれは言い換えれば、『デート』ってやつじゃないか、と。


飛び上がってしまった。歓喜。


「飲み物もあります。おい!お茶! ですが、緑茶って飲めますか? あ、チョコありますよ。UNOもありますので、やりたくなったら言ってください」


カバンから出てくる出てくる。しかし、この状況でUNOやりたくなる時って来るのかな。


肩を寄せ合って、お茶を飲みながらゆっくり話をする。

これは縁側に座って喋る、ほっこりなおじいちゃんおばあちゃんじゃないか? ね?


俺たちの未来の暗示だったりして。(←深読み)


「課長、今日は結構強引にお誘いしてしまいましたが、グッズ販売なんて、興味ありますかね?」


「もちろんあるよ。ファイブレ大好きだからね。でも小山田さんに謝らないといけないことがあって。俺……」


「実を言うと、ひとりっ子なんだ」


「え?」


驚いている。そりゃそうだ。


「前、姉がいるって言ったことがあると思うんだ。でもそれはその……口が滑ったっていうか……」


嘘をついてしまったわけだから、とても言いにくい。でも小山田さんにアタックするのに、変な障害がない方がいいと思って。

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