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それは、坂崎課長のこと。
待望のファイブレ来訪であったのに、元気がないように思えた。気のせいだろうか。
私はファイブレと撮った、サイン入りの写真を見た。これは最後の最後で、営業2課のみんなが勢揃いして撮ったもの。
「やっぱり課長ってば、芸能人枠だよなあ」
まじまじ見る。
ファイブレメンバーの隣に立っているけれど、スーツを着ていなければ到底サラリーマンには見えず。ファイブレとその仲間っていう感じ。
それにぶりっこ軍団もなかなかキラキラしてて、自分だけが別次元。
「はあ、わかってたけど。私って、まじで地味だなあ」
私の隣には長年の推しレンジくん。私の心の王子様と言っても過言ではない。こんなこと、一生に一度あるかないかのおこぼれラッキー。心もうきうきワクワクして、かなりはしゃいでしまった。
「レンジくんと付き合うとか……」
想像してみる。そっこう無理。秒で無理。
じゃあ坂崎課長だったら?
「わわわ! そんなこと、ないないない!!」
すぐに否定。
イケメンハイスペ界隈には縁がない私だから、それもあり得ないというか、考えられないんだろうな。
『でもレンジくんだって、いつかは誰かと結婚するわけでしょ?』
課長の言葉が耳元で鳴った。
そうだった。もちろん課長だっていつかは誰かと結婚する。ちょい前までは彼女いないって言ってたけど、あれから何週間経っただろう。
もう恋人がいるかもしれない。
いや、いるでしょ!? (林修先生風に)と断定できる気すらする。
ガチャを回す。
『あーあ、ハイレグなんか着なければ良かったのに』
(正 : あーあ、ファイブレなんか来なければ良かったのに)
下着に妙なこだわりがあっても、モテることには間違いない。好きなら多少の性癖ぐらい目をつぶることだってできるはずだ。あ、だがハイレグは却下。
「絶対いる。超絶美女の恋人が、ぜーったいいるはず」
ファイブレ祭りが終わったら食事ね、と約束している。
だからもうそれで終わりにしなければ。
なぜか胸が痛んだ。




