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93/202

*2

それは、坂崎課長のこと。


待望のファイブレ来訪であったのに、元気がないように思えた。気のせいだろうか。


私はファイブレと撮った、サイン入りの写真を見た。これは最後の最後で、営業2課のみんなが勢揃いして撮ったもの。


「やっぱり課長ってば、芸能人枠だよなあ」


まじまじ見る。


ファイブレメンバーの隣に立っているけれど、スーツを着ていなければ到底サラリーマンには見えず。ファイブレとその仲間っていう感じ。


それにぶりっこ軍団もなかなかキラキラしてて、自分だけが別次元。


「はあ、わかってたけど。私って、まじで地味だなあ」


私の隣には長年の推しレンジくん。私の心の王子様と言っても過言ではない。こんなこと、一生に一度あるかないかのおこぼれラッキー。心もうきうきワクワクして、かなりはしゃいでしまった。


「レンジくんと付き合うとか……」


想像してみる。そっこう無理。秒で無理。


じゃあ坂崎課長だったら?


「わわわ! そんなこと、ないないない!!」


すぐに否定。


イケメンハイスペ界隈には縁がない私だから、それもあり得ないというか、考えられないんだろうな。


『でもレンジくんだって、いつかは誰かと結婚するわけでしょ?』


課長の言葉が耳元で鳴った。


そうだった。もちろん課長だっていつかは誰かと結婚する。ちょい前までは彼女いないって言ってたけど、あれから何週間経っただろう。


もう恋人がいるかもしれない。

いや、いるでしょ!? (林修先生風に)と断定できる気すらする。


ガチャを回す。


『あーあ、ハイレグなんか着なければ良かったのに』

(正 : あーあ、ファイブレなんか来なければ良かったのに)


下着に妙なこだわりがあっても、モテることには間違いない。好きなら多少の性癖ぐらい目をつぶることだってできるはずだ。あ、だがハイレグは却下。


「絶対いる。超絶美女の恋人が、ぜーったいいるはず」


ファイブレ祭りが終わったら食事ね、と約束している。


だからもうそれで終わりにしなければ。


なぜか胸が痛んだ。


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