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「ようこそ、お越しくださいました。営業2課の坂崎と申します」
あれ? 課長、少し元気がないみたいに見える。でも課長もファンだから嬉しいはずなんだけどな。モノホンのファイブレを前にして、緊張してるのかな。
「俺たち、こうしてオフィスをあげて応援していただけることが、すごくありがたいし、嬉しいですね」
カナエくんがカメラに向かってとても嬉しそうに。そして、「俺たちなかなかデビューできなかったから、こうしてここに立てることがめっちゃ嬉しいです!! ありがとうーー」と、即興でダンス。ライブばりのパフォしてくれた。
じーん。嬉しい。もう倒れそう。ってか倒れていいかな。もしここで倒れたら、レンジくんが「咲ちゃん! 大丈夫??」って抱き上げてくれてーーー妄想突入。
「咲ちゃん、具合が悪かったんだね。俺、全然気づかなかった。これじゃあ恋人失格だな」
良きー!!
だが、ここで驚くべきことが。
「小山田さんっ! 大丈夫か?」って。坂崎課長が横入りしてきた。妄想は時として、思い通りにはいかないのだ。
坂崎課長は優しいからきっと私のこと、心配してくれると思う。そう思ったら妄想に登場するのも、自然な流れのような気がして。
「小山田さん、俺がついてるから安心して。誰か救急車を呼んでくれ。あとAED持ってきて!」
カッコいい。テキパキと指示する傍ら、小山田さん意識はあるか? 俺の声は聞こえる? 小山田さん、おやまださーん!!
はあぁ〜〜
課長、かっこよすぎて辛。
「よし、ではAEDの処置をするぞ! みんな離れてくれ」
ってさすがにAEDどーんはダメ。ここで妄想終了。
はっとして、現在に戻ると、ファイブレがオフィスの飾り付けを見て回ってる。
あぶな。
目に焼き付けなければいけないのに、私何やってんの?
「うわあ。これなんか初期に出してたポスターだよ。持っててくれて嬉しいな!!」
レンジくんの言葉が跳ねている。良かった。喜んでもらえてる。ああ。かっこよ。
「このポスターは彼女が……」
と。
坂崎課長が、おいでおいでしている。
ん?
え?
すると、ファイブレのメンバーが揃って私の方を見た。
え?
いや、そういうのいいから。
坂崎課長、やだあああぁぁぁぁああああ




