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83/202

*4

「落ち込んじゃって可愛かったからな。俺が尽力してやったってわけ」


「杉田、もうやめろ」


私は居たたまれない気持ちになった。確かに、自分がされたら、私だって嫌な気分になる。それに、指摘されるまで、気づかなかったドンな私。

ああ、こういうところだよね。

気がつかない気が回らない気遣いできないの三拍子。

坂崎課長すみません。

申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「良いんだよ、小山田さん。だってあの日は飾りつけの金曜日のことで、頭がいっぱいだっただけだろ? もう飾りつけも終わったんだし、今日は美味しいものでも食べて、明日に備えようよ」


優しい。坂崎課長が優しい。


その時タイミング悪く(いやまったく店員さんは悪くない)、「もつ鍋っ   っっした〜〜」と鍋をセットしていく。


「おおお〜うまそ」


社長が箸を入れようとして、「待て。俺らが自分の箸入れたら、小山田さんが食べられなくなるだろ? ちゃんとこのレンゲ使えよ。ほれ」と言って、大きなレンゲを渡す。


「おう。すまん。気づかなかった。こんな汚いおじさんたちとは、同じ鍋つつけないよなあ」


こんな見目麗しいイケメンハイスペ三銃士が、汚いわけがない。なんならそのもつ鍋に飛び込んでみせますが?


社長のディスは置いておいて、やっぱり坂崎課長が優しい。


ここで私は課長の本当の正体に辿り着いたのかもしれない。


実のところは、優しい人なんだ、と。


だとしたら、私は長い間、盛大な勘違いをし続けたことになる。


(自分の、真実を見極める目が曇っていたとしか……)


人間観察が趣味って豪語なんかして、私、全然だめじゃん。


この飲み会。私にとっては自分を振り返る、良い機会になったことは間違いない。自分の悪い部分を受け入れて、真っ当な自分になるために、私は今までの偏った考えを改めなければならない。


ただ。


「はんしぇい(反省)してるんですよう、こんなわたひでもねっ!! そふは見えねえなっ   て、おもふのひゃいかもしれねえけど  ねっっ」


「誰よ、小山田さんに3杯め飲ませたの……」


この辺から記憶がありません。


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