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8/202

*2



「え? 嫌だけど」


えーっと。は?


耳を疑った。今なんと?


就業時間ギリギリに坂崎課長がトイレへと立つのを見計らって、私は思い切って課長に声を掛けた。手にはレンジくんのコースター。汚れがつかないようにと、すでに透明ビニールでラッピングしてある。


本当なら推し専用のクリアケースに入れ、ハートや星、リボンなどでデコりたいのを、手に入れて家に帰ったらと、はやる自分を抑えに抑え、ようやく迎えた坂崎課長のトイレチャーンス。


「あのー坂崎課長、今少しお時間よろしいでしょうか?」


くるりと振り返って、「小山田さん、何だった?」と眩しいほどの笑顔。イケメンの顔圧すごい。推しのレンジくんと天秤に乗せても、釣り合うか、もしくは若干下くらい(贔屓目)の煌びやかな顔面。


気後れしつつも、私はコースターを差し出した。


「これ、先程領収書に挟まっていたんですが……」


「そうだったんだ。全然気がつかなかった。営業先で喉が渇いちゃって、何とかっていうカフェに入ったんだけど、そこで貰ってさ。手間かけちゃったね、ごめん」


「やややむしろご尊顔を拝ませていただきありがとうございます」


「??」


「それであの……

お願いがござると申しますか……その、」


心臓がバクバクしている。ただ、このバクバクとも一戦交えなければならないことはわかっている。ここでクレクレ言わねば、レンジくんのコースターは永遠に手に入らない。(←フリマ購入は別扱い)


「あの……ここここここの(尊みがすぎる)コースターをいただくことは出来ませんでしょうか!」


愛の告白。好きです私とお付き合いしてください!それほどの勢い。


それなのに。

冒頭に戻る。


「え? 嫌だけど」


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