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*1



「頼む!! 杉田にしか頼むヤツがいないんだ」


「いやまあ俺で良ければ……」


驚いた。坂崎が急に、「おい今夜は飲みに行くぞ」と言う。俺が、「えらい急だな。けどいいぜ。若狭も誘うか」と言ったら、「若狭は誘わない。おまえと二人きりがいい」


は?

どした? 坂崎。なにがあったんだ?


『酒房 なにやってんねん』に着いてから、生ビールを注文。だが飲む前に、坂崎からこんなことを言われた。


「杉田。これから俺の言うことをよーく聞いてくれ。俺はこれからどうしたらいい?」


は?

どした? 坂崎。なにがあったんだ?


「うーん。そうだなあ。とりあえずだけど、まずは告れば?」


「はあぁ?? おま、なに言って……見当違いなことを言うなよ!!」


見当違いだったか。


「じゃあ、明太ジャガバタにしたら?」


「もちろんそれは注文するけど……惜しいけどそうじゃないんだよな」


惜しいのか。


「じゃあ、いったいなんのことで悩んでるんだ?」


「杉田、頼む!! 俺に恋愛のノウハウを伝授してくれ」


惜しくない。


「へあ?」


「頼む!! 杉田にしか頼むヤツがいないんだ」


「いやまあ俺で良ければ……」


「ありがとう。これで首の皮一枚つながった気分だよ。助けて欲しい」


「具体的には?」


「ああ。まずは好きな人にどうやって声をかければいいのか、ご教授願いたい」


そこからか。


俺は呆れてものも言えずにいた。

坂崎が、カバンからさっとノートを取り出しスタンバイする。さあ、どんとこいみたいなその瞳で、俺に圧を与えてくる。おまえは学生時代から、そうだったんだ。なんら変わってない。


これはもう、誠実に伝授するしかないのか?


「あえっとまずはだな……」


「ふむふむ」


「スマホ出せ」


「『スマホを出す』と」メモメモ。


めんどくさ。


「いいから早くスマホ出せ」


「おう」


坂崎が胸ポケットからスマホを取り出して、顔認証する。顔キメんでいい。


「LINEを開け。で、デートしたい人のやつ」


「おおう」


「『こんばんは。元気? 実はね、ちょっと相談したいことがあってね。良かったら話を聞いて欲しいんだけど、どうかな? ◯◯◯さんの……(伏せ字だが検討はついている)都合がつけば、夕飯一緒にどうかなと思って』……て打った?」


「打った」


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