営業2課坂崎課長の怪しげな行動 おかわり4杯め
(おいおいおい、だからぶりっこの暴走は恐いってんだよ。まさか営業2課のオフィスをファイブレ仕様に改造しちまうなんてな)
小山田さんのデスクの隣をすいーーっと通るとき、俺はこんなことを考えていた。
「ぶりっこの行動力すげー。一周回って尊敬に値するわ」
そして、自席へと戻る。すると、どうだ?
なんだかスーーって、肩に乗ってた憑き物(生き霊かな?)が、スッと降りたようなスッキリ感がある。不思議だ。小山田席にはなにかある。が、当の小山田さんは、ちょっぴり変な顔をしている。そしてなぜか、うんうんと頷いている。
腑に落ちた、みたいな? 納得です、みたいな?
いやあそれにしても小山田さん、変な顔でも可愛いな。あれ? 眼鏡変えたかな? 赤縁眼鏡でも似合うじゃないか。
まあどっちの眼鏡でも似合うから、どっちも良いと思う。
良かった。小山田さんが営業2課に戻ってきてくれて。あの女たらし杉田のいる1課に異動になったときは、本当にハラハラしたし、もし小山田さんが杉田の術中にハマってしまって、杉田を好きになってしまったらと思うと気がきじゃなかった。生きている心地がしなかったと言っても過言ではない。
実を言うとあの頃は毎日、1課の前を通って営業に行くとき、必ずチラッと小山田さんのつむじを見てから、出かけていた。
白状しよう。俺はどうやらストーカーの気質があるような気がしてる。だから、異動が三ヶ月の短い期間で助かったというか、救われたというか、逮捕をまぬかれたというか。
あのまま1課に居たのなら、俺はきっと最終的に小山田さんの後ろ、もしくはつむじについて回っていたのではないだろうか。(←アウト)
こんなにも、小山田さんのことが気になっている。会社で月曜日から金曜日までは会えるのだが、土日も会いたいし、もっと話をしてみたいな。
もう一度、食事にでも誘ってみようか。
どうしたら、好きになってもらえるのだろうか。
ファイブレの限定ポスターなんて、俺には手に入れることなんか、到底できない。山田さんのパパに頼むしか、手がないのがとても歯がゆい。
誰か俺に指示をくれ。俺が頼れるのはもう、『愛の成就ムック』しかない。(が、ちょっと頼りない)
誰か、恋愛初心者の俺に、愛の指南をして欲しい。
しばし熟考。
ひらめいた。
杉田でいいんじゃね? と。




