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66/202

*1

私はダルオモな身体を引きずって、本社ビルの玄関ホールに入った。

その辺りから、いつもと雰囲気が違うような気がしていた。視線を感じるというか。


(ん? なんだろ?)


エレベーターに乗る。いつも早めの出勤にしているからか、乗ったエレベーターに人はいない。


ほっとしたのも束の間、5階について廊下を進み、営業1課を通過して、2課の部屋へと入っていって、挨拶をしようとした。と。


「おはようござ、」


「ちょっと小山田さん!!」


田中女子だ。坂崎ハンター連盟の代表兼ぶりっこ同盟の筆頭。


いきなり話しかけられて、私はカバンを置くのも忘れて立ち尽くした。そこへ、ぶりっこ数人が私を取り囲む。

なになになに!?


「お、おはようござ、」


「おはようとか、こんにちはとか、そういう問題じゃないの。あなた、いったいどういうつもりなの?」


いつものような♡や⤴︎や(๑˃̵ᴗ˂̵)や˚✧₊⁎❝᷀ົཽ≀ˍ̮❝᷀ົཽ⁎⁺˳✧༚が封印されている。

これは相当なおこ(怒)だ。恐い。


「どういうつもりって……」


「さあ白状なさい。あなた、坂崎課長とライブに行ったって本当なの?」


「あ、はい。Φブレインっていう……」


「嫌あぁぁーーーどういうこと!? 激おこなんだけどおぉ」

「やだあ、こんな地味子とお?? 嘘でしょぉ」


数人が顔を見合わせる。眉が吊り上がり、その顔はまさしく、般若そのもの。ぶりっこの殻を完全にぶち破ってかなり錯乱している。


「はあ……小山田さん、あなたやってくれたわね!!」


「なにが……」


私は不安を覚え、きょろと見回した。坂崎課長どころか、営業の男性メンツがまだ一人も出社していない。なんてこった。アーメン。


「なにがじゃないわよ。私たちとの約束をよくも破ったわね」


「約束?」


「とぼけないでよ。私たち女子社員の中で固く誓いを立てたでしょ? 坂崎課長に関しては、決して抜けがけをしないって!!」


「それ、私って入ってな、」


「知らないとは言わせない。私たちが約束を守って、坂崎課長と抜けがけランチしないという条例を作ったのは知ってるわね? いつもお昼はオフィスに残ってるんだから、目撃してるはずよ」


「それは察してましたが、私は関係ないです……よね?」


「はあ。これだから。小山田さん、いい? 条例第3項に『坂崎課長とは飲み会やランチ、ショッピング、映画などに一緒に出かけません』ってあるわけ」


しらーーーーーーん。


「あなた、条例違反よ」


田中女史の冷ややかな声。

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