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前回のライブも感心したが、今回もこれほどに感動している。
素晴らしい才能。ファンを惹きつける実力と魅力。俺はもうファイブレの虜になりつつあった。
「小山田さんが一生懸命に応援するのもわかるな……」
そして。小山田さんと、この感動を今、共有している。
小山田さんと、同じものを見、同じ匂いをかぎ、同じ音楽を聞いている。
(ああ、ここに小山田さんがいたらな……)
この腕にすっぽりと収まっていた、小山田さんの頭にあったつむじ。可愛かったな。もっと、ぎゅっと抱きしめたかったな。
小山田さんを思い出すと、心臓も顔面も、何もかもがカーッとほてってきて、熱い。
「小山田さん……」
名前を無意識に何度も呟いてしまう頃。ファイブレのライブは終わろうとしているのだった。
*
(ちょちょちょーい)
坂崎課長がなんかわからない攻撃してくるんですが?
なんなんすかね、アレ。
甘ーい
って叫びたいけど、私なんか相手に甘くしなくても。無意味な行動だわ。
なにか裏があるのかな。性悪だしね。列に並んでいるときだって、若者にタックルくらって驚いたけど、課長がかばってくれたなあ。
いやいや。かばってくれたなあ、じゃない。
課長は性悪だから。
なにか裏が……
って私の顔面も、真っ赤だからって慮ってくれたなあ。
ってか私。めっちゃ顔熱かった。だって、イケメンハイスペに、上方から大丈夫だった? なーんて見守られてみてよ。顔が爆破されるのは仕方ないよね。
そこで、ジャジャーンと音楽が始まった!
ファイブレの5人がステージ上へと、躍り出てきた!!
「ぎゃー!! レンジくーん、好きーー!!」
私は右手にペンライト、左手には推し専用のうちわを持って、ステージに向かって振る。
「はい、はい、はいはいはいはい!!」
先日配信された新曲だが、合いの手も完璧だ。
身体を揺らしながら、胸熱でステージを堪能していると、両横の女子ーズがファイブレ愛のあまり、興奮してしまい、私にどんっとぶつかってくる。
「ごめんなさあーーい」
謝罪はあったが、それでもぶつかってくる。
(ああ、さっき入場並んでたとき、課長ってば、かっこ良かったな……)
私の肩をぐいっと引き寄せ、暴漢(←?)から守ってくれた。
ああ。裏を探るのはもうやめよう。性格が悪くとも、優しさはあるし、私のことを邪険にしたり、貶めたりはないのだから。
ファイブレのライブはもちろんかっこよくて楽しかったけれど、その間に何度も課長のことを考えていた。ファイT着てても、全然ダサくなかったな、とか。
あっという間にライブは終わり、私は会場の出入り口を出た。




