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61/202

*1

「小山田さん、大丈夫?」


小山田さんは俺の胸の中で、顔を伏せてしまっていて、様子がわからない。


「小山田さん……?」


俺は両手で、小山田さんの頬を包み込んで、大丈夫? なんともない? と優しく聞いた。


「だだだいじょぶでしゅ」


「え、小山田さん!! 顔が真っ赤だぞ。あいつら、小山田さんの顔面に何したんだっ」


怒りが込み上げてきて、腕に力が入る。ぐいっと小山田さんを抱きしめて……


ん?? 抱きしめて??


えええーーどうなってんのこれ。なんで俺、小山田さんを抱きしめ……


「うわあっっ」


慌てて両手で彼女の肩を押した。パニックだ。なんてことを俺は。なんでこんな、すわセクハラ事件か! みたいな場面になってんの俺えぇ!!

小山田さんは、顔を真っ赤にして、口をはくはくしている。


「ご、ごめんっ」


「いえ、私こそ」


耳まで真っ赤にして、俯いている。両手をにぎにぎと握って、どうしていいかわからない様子で、唇もむいっと引き締めて。

事件の犯人の俺が言うのもなんだが、小山田さんのことをなんだかとっても愛らしい人だなと思う。俺が思う、『可愛い』はこういうこと。ぶりっこ常習犯には到底真似できないだろう。


(あくまで)防犯上の流れでつい抱きしめてしまったが、神さまありがとう。


「あ、ゲート開いたね。席は離れてしまうけどお互い楽しもう」


「はいっ」


ゲートを通り、そこで別れる。手をあげてじゃあね、と振ると、小山田さんは控えめに手を振ってくれた。

……神さまありがとう。←しみじみ



俺はステージを見る。


明るいスポットライトに照らされただだっ広いステージの上、ポップな音楽に合わせて、Φブレインのメンバーは踊る。一心不乱に。少しも手を抜かずに。

キラキラと飛び散る汗に、想像もできないような彼らの限りない努力を垣間見た。


「すげーな……」



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