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「小山田さん、大丈夫?」
小山田さんは俺の胸の中で、顔を伏せてしまっていて、様子がわからない。
「小山田さん……?」
俺は両手で、小山田さんの頬を包み込んで、大丈夫? なんともない? と優しく聞いた。
「だだだいじょぶでしゅ」
「え、小山田さん!! 顔が真っ赤だぞ。あいつら、小山田さんの顔面に何したんだっ」
怒りが込み上げてきて、腕に力が入る。ぐいっと小山田さんを抱きしめて……
ん?? 抱きしめて??
えええーーどうなってんのこれ。なんで俺、小山田さんを抱きしめ……
「うわあっっ」
慌てて両手で彼女の肩を押した。パニックだ。なんてことを俺は。なんでこんな、すわセクハラ事件か! みたいな場面になってんの俺えぇ!!
小山田さんは、顔を真っ赤にして、口をはくはくしている。
「ご、ごめんっ」
「いえ、私こそ」
耳まで真っ赤にして、俯いている。両手をにぎにぎと握って、どうしていいかわからない様子で、唇もむいっと引き締めて。
事件の犯人の俺が言うのもなんだが、小山田さんのことをなんだかとっても愛らしい人だなと思う。俺が思う、『可愛い』はこういうこと。ぶりっこ常習犯には到底真似できないだろう。
(あくまで)防犯上の流れでつい抱きしめてしまったが、神さまありがとう。
「あ、ゲート開いたね。席は離れてしまうけどお互い楽しもう」
「はいっ」
ゲートを通り、そこで別れる。手をあげてじゃあね、と振ると、小山田さんは控えめに手を振ってくれた。
……神さまありがとう。←しみじみ
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俺はステージを見る。
明るいスポットライトに照らされただだっ広いステージの上、ポップな音楽に合わせて、Φブレインのメンバーは踊る。一心不乱に。少しも手を抜かずに。
キラキラと飛び散る汗に、想像もできないような彼らの限りない努力を垣間見た。
「すげーな……」




