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58/202

*3



で。ライブ当日を迎えることとなる。

坂崎課長と二人、この広い会場で席は離れてしまったが、待ち合わせして一緒に並ぶ。


見て!! 課長と同じファイブレTシャツ着てるんだ。るんるん。


……じゃない。ここに来るまでに、修羅の道を通ってきた。


まずは先日の私の有り様から語らせておくれ。


坂崎課長、御母堂よりチケットを入手したとLINE。


その日からまた震えが止まらなくなった。食欲も半減、ファイブレのDVDでも観て気をそらそうとして失敗し、レンジくんの抱き枕を抱きしめても、夜寝れなかった。


しかも。


次の日。営業2課にて。


いやにニコニコした坂崎課長がさっと近づいてきて、


「小山田さん、これあげる」


ええ?


差し出されたものは、透明なビニール袋に入っていた。


こ、これは!! 前回のライブの公式限定ファイTシャツ。


ここここれは!! と、わなわなしてしまった。ライブ中に、隣の背の高いお兄さんが着ているのを見て(ニアミス)、初めて公式から出ていることを知るという、前代未聞のやらかしをしてしまい、手に入れることが出来なかった、私の中では伝説の、ファイT。


なぜこれを坂崎課長が?


「実はその隣りのお兄さん、俺」


ん? 今なんと?


〝……耳がおかしくなったかな? え? もう一度お願いします。〟(←震えのためかすれ声)


「その時、二枚購入してて。だから、これ一枚あげるよ。その代わり、今度のライブで着てきてね。これでお揃いだ」


ぺあるっく? ないないないないありえなーい。


私は変装していくので、これは確かにいただきますけど、あくまで変装スタイルで行こうと思ってますので って言おうと思ったら、営業2課の女子社員がぐわあぁぁって集まってきて、周りをガッチリ囲まれて、「やだやだ坂崎課長とお出かけなの? 嘘でしょ! ライブって何よっっどういうことっっ」


と大騒ぎになったことは言うまでもなく。


それなのに課長はしれっと、

「小山田さんと一緒に推し活してるんだよ」


おいいぃぃぃいい! 私の身の安全も考えろっ!!





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