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「なんか申し訳ないことしちゃったなあ」
ライブチケットは1枚で申し込んだ。
性悪課長にこれ以上、振り回されたくない。っていうか、イケメンハイスペ三銃士から逃亡したい。
「あんまり関わりたくない……」
これまで地味子を貫き通してきた。恋愛なんて、夢のまた夢。それでも、レンジくんに恋してときめいて、それでいいと思っていたし、満足だった。
コラボカフェも歓迎会も、私には高いハードルでしかなかった。それなのに坂崎課長とご一緒することになり、前日から震えは止まらないし、食欲も半減、ファイブレのDVDでも観て気をそらそうとして失敗し、レンジくんの抱き枕をぎゅうぎゅう抱きしめても、夜寝れなかった。
坂崎課長始め、杉田課長や若狭社長なんて、そのハードルがもう空を突っ切って、宇宙の彼方まで行っちゃってるから、もう次元が違う。
私がガラケーなら三銃士はあいふぉーん。
私がモンシロチョウなら三銃士はアゲハチョウ。
私が水草なら三銃士は金魚、いやアロワナだ。
それほどの乖離がある。
「びっくりしたもんな、会社に入社したとき」
会社案内には、若狭社長。本当にカッコいいなって思ってた。でも驚いたのは、営業のダブル巨塔。
なんちゅう会社じゃここはっ!! って目が点になっちまったもんな。
「坂崎課長のPC連打の、見目麗しい姿。遠くから見てるだけで良かったんだけどな……」
そう。それでいい。性格悪いってわかってからも、課長の姿を遠くから見るだけなら、こちとら傷つかないで済む。接点を少なくすればするほど、傷つかずに済むのだ。
「……良かった……課長には申し訳ないけど、チケット1枚しかなくて」
申し訳ない気持ちはもちろんあるが、ほっと胸を撫で下ろした。
すると少しして、ピロン。
【坂崎課長】
『チケット手に入ったよ』
はあぁぁぁあああ????




