営業2課小山田咲の怪しげな行動 PART1
私は悩んでいた。イケメンハイスペ三銃士が私の歓迎会?? だと?
はあ? 正気かい?
私はこの時、心底イケメンハイスペの存在が面倒臭さくて仕方がなかった。だってそうでしょう、人のことをこんなに翻弄する人種なんて、前人未踏の地に飛んでいってくれまいかとまで思っている。
はっと気がついた。
「私のようなペンペン草がもし、イケスペ三銃士と飲んでいるなんてバレたら、それこそ営業2課が……いや『SSK企画』が大騒ぎになって乱闘騒ぎに……」
震えがきた。これはマズイ。みんなにこれっぽっちも、このことを知られてはいけない。だが、飲み会自体は上司二人に社長だと。断れない。よし、変装しよう。(←安直な思考)
以前、ネットで購入した探偵の助手のコスプレに色付き丸メガネをしていこう。これなら完全に私だとバレないはずだ。
(今日は二杯までにしておかねば……この前みたいに記憶を失うことは許されない。社長の前でなにか粗相でもしたら……クビ)
私はごくっと唾を飲んだ。かつてこんな危険な飲み会があっただろうか。どうにもこうにもクビが飛ぶ未来しか見えない。かなりの覚悟で参加したが、意外と飲み会は楽しかった。
坂崎課長がやたら褒めてくれたからだ。
だが、これには裏があるはず。課長の本性知っちゃってるから。2課に戻って、またみなの者とうまーくやってくれよ、と暗に私の首根っこを抑え込もうとしているのだろーか。
ただ。
3杯め。ら辺から記憶がない。あまり飲み過ぎないよう気をつけていたんだけど、気がついたらアパートに帰宅していて、目覚めるとすでに朝だった。ちゅんちゅんとスズメのさえずり。
(あれ? 家、か)
どうやって帰ったのか。月曜日、女子社員が総出でランチに出払うのを見計らって、坂崎課長にそれとなく聞いてみたら。
坂崎課長。顔を真っ赤にして、「たたたたタクシーで俺がおおお送ったよ」と。
挙動不審な課長はすぐさまデスクに戻って、Boxティッシュから3枚出して鼻をかみ、そしてまた私のところに来て、「おおお小山田さん、おぼおぼ覚えてないの?」と。なぜ鼻をかんだ?
「すみません。覚えているか? と聞かれたら、居酒屋で中国4000年の梅サワーを飲んだ辺りから、ちょっと怪しいです」
「あ、それは覚えてるんだ」
「タクシー代を立て替えていただいたわけですね。かたじけない。お支払いします。おいくらでしたか?」
「そんなのは全然いいから!」
「私、たぶん(絶対)飲み代も払ってなくて(確信)。無銭飲食ってやつです。すみません涙」




