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*4

「杉田!! 小山田さんはまだ飲めると言っているだろ? 梅サワー返してやれよ。小山田さんをいじめるな」


「なにを言ってるんだ。これ以上、飲ませられんのよ! ここだけの話、小山田さんはな、飲み過ぎると、オラオラになるんだよ。小山田さんのことなら俺が一番知ってるからな」


なにマウント取ってんだ。杉田がムカつくことをいけしゃーしゃーと言ってのける。確かに小山田さんの様子を見ると、梅サワーの跡の水滴で、『の』の字を書いている。様子がおかしい。


「わかった。小山田さん、この烏龍茶飲みな」


「私の梅サワー……」


『の』の字が渦巻きになりつつある。これはまずい。

若狭が、俺が差し出した烏龍茶を小山田さんに近づけて心配そうに言った。


「無理したらあかんよ。はいこれ梅サワーだから」


すると、小山田さんが豹変した。


「ははは!! あかーん!! ちょ待て待てこれ色が違うやろ」


謎の関西弁&ツッコミ発動。本当だ、なんかちょっとオラオラ臭。

杉田に、ほらね、と目配せされる。ムカ。


「熟成させた茶色の梅を使ったやつだから。100年寝かせないと、この色にはならないんだよ」


「はあ? 若狭、なに言ってんの。ただのウーロンなのにそんな子どもだまし」


俺と杉田が笑う。

おまえ、本当にそれでも代表取締役?

例え今オラオラであっても、そんな子どもだましに乗るような小山田さんじゃないだろ。いや、これは猫だましのレベルだわ。


「なるほど。熟成梅。さすが中国4000年の歴史!! この琥珀色、なかなかの色の深みですな」


小山田さんは得心し、烏龍茶を受け取ってぐびぐび飲み始めた。


小山田さん?


「「「……小山田さんってまじ面白れーな」」」


口を揃えて、俺たちは笑った。



「俺が小山田さん送るわ」


杉田がそんなことを言うもんだから、「それダメ絶対」と言ったら、じゃおまえが送れと、押し付けられた。


「俺は小山田さんの家知らないから」


「だろ? だからおれが送るって言ってんの」


「杉田は知ってんのかよ」


「ああ。俺は知っている」


「俺も」


「若狭も? え?え? 杉田もなんで知ってんだよ」


「前回の飲み会の時、タクシー乗せたの俺だから。そん時、オラオラの小山田さんから聞き出したの俺だから」


「俺は履歴書見た」


職権濫用だろそれ。


「社長失格だな」


と、ここで小山田さん。


「帰るのかあぁぁ? もう帰るんだなあぁ?? 帰ったらそっこー『それふぁい』観るから!! ああ? なんか文句でもあるんかあ@#&wg,,,,」


ふらふらしながら、ほっぺは真っ赤だし、完全に千鳥足。頭にネクタイ巻いて寿司の折りを持たせたら完璧な酔っ払いの出来上がり。それでもファイブレは大好き。可愛いオラオラだ。


「とにかくタクシーに乗せよう」


若狭が手を挙げて一台のタクシーを止める。夜にはまだ早いこの時間。直ぐにタクシーは捕まった。だってまだ8時ww


「俺は送っていけないが……」


9時就寝の若狭が言う。

この子ども社長めがっ。


「一人で乗せて大丈夫かな、心配だな」

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