*3
*
「かんぱあぁぁい」
やばいやばい。俺の前に本物の小山田さんがいる。
小山田さんとの飲み会。これ以上粗相がないようにと、俺は『愛の成就ムック』を封印した。
居酒屋で禁煙席。小山田さんと向かい合う。その隣には杉田。俺の隣は若狭の席。
「小山田さん、いいね!」
は?? 杉田っっいきなりいったいなにがだよ!!
それより杉田、小山田さんにあんまり近付くなよ。
小山田さんが、梅サワーのジョッキを持っている。
似合うっ。てか可愛いな。
「小山田さん、ぐー!!」
「ありがとうございます」
え? なに? なんで通じてるの?
「はい。これ好きでしょ」
杉田が砂肝炒めを差し出す。すると小山田さんは、「大好物です」と、箸を取る。
えええ。杉田と小山田さん、なんでそんなにツーカーの仲なの? かかかかカップルみたいじゃん。
やっぱり先手を取られた歓迎会が、地味に効いているのかどうなのか。あの日、二人きりで飲み会したなんて、悔しすぎる。
俺の方が、小山田さんを、そしてファイブレのことを知っているはずなのに。
「仕事の話になっちゃうけど……小山田さんさ、営業のみんなのことよく見てるよね。みんなに合わせた動きしてて、ほんと感心してる。君は優秀だよ」
これはいかんと、俺は枝豆をつまみ生ビールを飲みながら、小山田さんを褒めた。ここで良い印象を植え付けないと、杉田に先を越された遅れを取り戻すことはできない。
「坂崎にそう言わせるなんて、小山田さん、なかなかやるんだねえ」
若狭は枝豆を頬張りながら、ハイボールだ。
「いえ、私なんか、道端に咲くぺんぺん草。しがない透明人間、ロバの耳ですよ」
表現独特すぎww
「小山田さん、お酒弱いんだから、それくらいにしておけよ」
杉田が、小山田さんの梅サワーを取り上げる。確かに、三杯目に突入している。
「ほーら、三杯が限界だっただろ? 目も座っちまってるし」
「杉田かちょ、返してくださいよ」




