坂崎課長、杉田課長、若狭社長のまったく怪しくない行動
「ありがとうございます。かなり復活できました」
かなり、とは言ってももしかしたら非常に、なのかも知れない。
異動してからずっと胸にあったしこりが、すうっと溶けていった。
今思い返せば。
羞恥心という名の雨がさばあっっと降って土砂降りに遭った気分ではあるが、坂崎課長の胸は大きくて優しくて温かかった……
って、騙されていいやつかなこれ?
「俺が悪い。小山田さんの置かれている状況に全然気づいてあげられなかった。本当に申し訳ない」
うん。はい。とりあえず騙されよう。
「いえ、私にも至らぬところがあるんだと思います」
「そんなことはないよ。小山田さんはなんも悪くないから。諸悪の根源は、杉田だから」
相変わらず杉田課長には手厳しい。
「いえ杉田課長は色々と気にかけてくださっていたんです。それなのに私が……」
そこで。はたと気がついてしまう。
ちょーーーーっと待って。
よーーーーく考えてみて。
歓迎会やって貰えなかったから泣くって、わい、かまってちゃんかーーーーい。
やだこれ恥ずかしいやつ。
冷静になった私、急激に冷めていく。氷点下2℃いや50℃くらいの寒いやつ。これはもう帰った方がいいな。
「みっともないところをお見せして、本当にすみませんでした。もう大丈夫ですので。これからは2課で職務を全うする所存でございますので、どうぞよろしくお願いしますでは失礼しまーす」
「あっ小山田さん、ちょ待……」
社長室を出た。いや出ようとしたとこ。
ドアのノブに手を掛けて……
回す瞬間に……
ガチャ
バン
ドアが向こうから開いた。
「あ! え? 小山田さん? なんでここにいるの? ってか、でこ大丈夫かあ?」
杉田課長だ。
急に開いたドアがスローモーションのように見えた。これが走馬灯ってやつか。
あ。わたし。もうすぐ死ぬんだ。
ってやつ。
それでドアがバン!
ジンジンするおでこを手で押さえる。




