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「店どこにする?」
杉田課長と並んで、トボトボと歩く。二人だけの自分の歓迎会。寂しすぎる。
「どこでも大丈夫です。だいたいのものは食べられます」
「じゃあ魚の旨い店があるから、そこでい?」
「はい」
会社から歩いて10分ほどのところにある、『とんちんかん』という居酒屋に入る。
だが結果。
入店する時には気にならなかった店名が、退店する時には「はあぁ? とんちんかんだとぅ? 誰に向かって言っているんだ!! おまえとわたしぃ、どっちかっつったら、おまえの方がとんちんかんだっての!!」と、店の前で大騒ぎした私。どうやらザ・酔っ払いに豹変してしまったようだ。
「ましでビビった。急にオラオラになるからめっちゃ恐かったぞ」と杉田課長。
記憶にございません。生中3杯で。ダウンでした。
「なんか歓迎会、大変だったみたいだね」
社長が可哀想なものを見るような目で、覗き込んでくる。憐れみか。同情するなら金かファイブレグッズをくれ。
「はい。歓迎会と言えど、参加者は2名でしたが」
「2人ww ちょ言ってくれれば俺、行ったのにい」
「ははーー」(←遠い目)
「すまんね、振り回してしまって」
「いえ、良いんです。でも、どうしてまた事務処理班を元に戻すんですか?」
社長が目の前に置いてあるコーヒーのソーサーを持ち上げた。そのままカップに口をつける。一口含むと美味しそうに目を細めた。
私も慌てて、淹れていただいたコーヒーをいただく。美味しい。
水曜日の午後、社長室にて。ほのぼの美味い〜
「坂崎がねえ、ぼやくのよ。俺は課長失格だの、上司失格だのってね」
「課長が、ですか?」
「きっと小山田さんにとってはアイツのこと範疇外だと思ってるかもだけど、」
私は心に思ったことを率直に話した。
「いえいえ坂崎課長は範疇内です」
「そうなの?」
私は力強く頷いた。




