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4/202

*3



お弁当を食べ終え、昼間のまどろみにうつらうつらしていた私。

ランチから戻ってきた女子社員たちの声で覚醒。


「えーなにこれぇ」

「これ誰が買ってきたの?」

「ふぁ……ふぁいブレイン……てなに?」


その声に私は、PCの前で仰け反りそうになる。

は?え? 今なんと? Φ(ファイ)ブレインですって?

カフェスペースにたむろする女子社員たちの声の方へと耳をそば立てた。


「アニメか何かなの?知らなーい。中身はウェハースみたいだけど……シール付きだってさ」


は?え? まさか推しのファイブレチョコ?


「こんなの誰が買ってきたのよ? 要らなーい」


要るわ!

欲しいし、ください!


そば立てていた耳を戻して、落ち着けーと言いながら、ふうーと細く息を整える。

私が推している5人ボーイズグループ『Φ(ファイ)ブレイン』、略してファイブレは、あるオーディション番組から誕生した、この世で一番カッコよくて尊いダンスグループだ。


その中で、神ダンスのレンジくん推しの私は今、ライブに行くのはもちろんのこと、レンジくんのグッズなどを買い漁っている。


もちろんシール付きチョコ菓子もしかり。


どうしよう。そのウェハース、むちゃくちゃ欲しい。すでに何枚か持ってはいるが、できたら鑑賞用がもう一枚欲しい。


私は、女子社員が立ち去ったのを確認してから、カフェスペースへ、そろりそろりと忍び足で近づいた。

まあ私が何をやってようが、私の存在なんか、無色透明人間だし、誰も気にかけてないとは思うけどね。


山盛りになっているお菓子BOXに視線を向ける。


(まじか、本当にある)


誰が置いたかわからないけど、確かにファイブレのチョコレート菓子がみっつも。キャラデザされたメンバーのイラスト。

きゃ……きゃわいい。


私はそろりと手を伸ばし、さささと3袋をGET。

手と手で挟んでなるべく人の目につかないように移動。手の温もりでチョコが溶け、ウェハースはバリバリに死んでいるかもしれないが、私の狙いは中のキャラシールのみ。

内心バクバクしながら、自席に着いた。


(嘘でしょ。市内中のスーパーをかけずり回ってようやく8個をGETしたのだというのに、なんの苦労もなく3個も……なんて日だ!!)

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