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「あいつ、バカだなあ」
俺は会社からの帰り道、スタンドのカフェでホットコーヒーを購入し、ふーふーしながら飲んでいる。
俺は、杉田湊、女の子大好き30歳。
もちろん『“独身”』。(←強調)
営業1課の課長で、高給取り。背も高いし、顔もそこそこイケメンで、髪は茶髪でツーブロの短髪。性格は温厚、細かいことは気にしないサバサバ系(マチアプのプロフィールから抜粋)
仕事もそこそこ出来るし、営業2課の坂崎とは営業成績もどっこいどっこい。なかなか順風満帆な人生を送っている。
ただ。俺のこの人生で困っていることと言えば、女の子に非常にモテる、ということ。
なんで困るかって?
だって、人間一人としか付き合えないから。いや、ニ股三股出来るよーって人もいる。
俺も一回はそれやってみたんだけど、とにかく大変だった。名前は間違えるし、約束はごっちゃになるし、時間を平等にって思うと、睡眠時間を削らなければならない。
付き合っている子に対して、あらゆるバランスが取れなければそこで終了。
寝不足からバレて修羅場となり、複数股は面倒くさいし、メンタル削がれると結論づけた。
その後は恋人は一人と決めている。
だが、それまでの複数股がいけなかった。そんなこんなで仕事にも悪影響が出てたし、そこら辺から杉田課長はチャラいし軽薄との噂がついて回るようになり、女子社員からは一歩置かれて警戒されている。
自業自得だが、地味に痛い。
そんな日々を送っていたが、ある日、こんなことがあった。
いつも通り、若狭社長、坂崎と営業チーフとの営業戦略会議を終え、廊下を出た。
すると。
廊下にわさっと書類が散らばっている。そして、そこに立ち尽くす一人の女性。
それが小山田咲さんだった。
「ちょっとお! こんなところに書類バラまかないでよぉ」
「す、すみません。すぐ拾います」
小山田さんはその場に座り込み、慌てた様子で書類を拾い集めてる。
「まったく小山田さんはぁ。あーあこんなにしちゃってぇ」
廊下にいた女子社員が二人、こちらをチラチラ見ながら、書類を集めるのを手伝っている。
(ああ。坂崎のとこの……アピール一生懸命だな。ごくろーさん)




