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32/202

*3

「あのさ。小山田さん、突然で申し訳ないけど、キミ営業1課に異動してくれないかな」


はい、どーん!


腹パンほどの衝撃。直接攻撃きた。我々平民にとって社長からのそれは御信託と取っていい。


昨日、坂崎課長にヘッドハンティングされないようにとの旨、強く確認され、私もお断りするので大丈夫ですの旨、お伝えしたばかり。


だがしかし、これは社長命令。受け入れざるを得ないやつなのでは?


「え、あ、えっと……え? どどどどうしてですか?」


とりあえず理由を聞いてから。


「あのね、これ、ここだけの話なんだけど……」


私はごくっと唾を飲み込んだ。



なるほどそういうことですか。


若狭社長から聞いた話がぐるぐると頭の中で回る。


『じゃ、事務処理班トレードの件、考えておいてね』


うーん。悩む。悩むし断れなくはないだろうけれど、答えは出ている気がしてる。


私は社長から話を聞いたあと、1課の多田牧田ペアのもとに。私から見たら整理されているように見えて動線の悪いデスクと整理棚に対して、私はこうやってますのアドバイスと、可愛いがなんの役にも立ってない無駄なディスプレイの破棄を勧め、書類の効率の良い処理の仕方を伝授してから、2課に戻った。


戻る前。


「さすが小山田さん、すごく助かったよ。これで彼女たちも、これからは定時には帰れそうだ」


「お役に立てて良かったです」


「お礼に食事にでも誘いたいんだが」


「これも仕事のうちですので、お気遣いなく。こちらこそ勉強になりました。ありがとうございました」


そう言うと、杉田課長は苦笑し、そして自席に戻っていった。


ここ営業1課。杉田課長を筆頭に、かなりの利益を上げ、会社運営に貢献している。


杉田課長はチャラいが優秀。んでモテる。営業2課にもファンクラブがあるくらいだ。

坂崎課長のカーリー黒髪とは正反対の、茶髪のクセなし短髪にツーブロ、切れ長の目、目尻に笑いジワを作りながら、ははは! と豪華に笑い、頭をぽんぽんしてくる。そして、とにかく褒め上手。


(それに……)


1課のオフィスは、2課とはまるで雰囲気も違っていた。

まずもって、1課のように営業や営業補佐が♡や⤴︎を乱発する人種がいない。(事務処理班は除く)


とても静かで、皆さん、黙々と仕事をこなしている。驚いた。

誰一人として浮き足だっていない。


(これが社長が話していた……)

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