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なんでなんで?
なんでを連呼。
えー社長って本当に存在するんだ。
……ってな具合にプチパニック。あ、1課の事務処理班の面々も、あっけにとられてるー。
WEB制作会社『SSK企画』の社長、若狭優、若干25にしてこの『SSK企画』を起業、5年で莫大な利益を出し、経済界から注目を集めている。
「会社経営とは推し活のようなもんです」
会社案内のパンフレットに、この言葉が社長の金言として掲載されているのを見つけ、直ぐさま応募した。当時はまだファイブレに沼っていなかったとはいえ、代々さまざまなジャンルで推し活はしていたため、この人とは考え方が似ている、シンパシーを感じる、となり。
「社長! 社長がお持ちになっている推し活理念に共感し、この会社に応募しました!!」
って、その場で言いたい気持ちを抑え込んだ。(←面接では言った)
痺れる! かっこいい! これでアラサー? いい加減にして!
坂崎課長も杉田課長もかっこいいが、そのかっこいいを軽く凌駕している。
イケメンハイスペ三銃士、爆誕。
「えぇー!! やだこの人、社長ぉ?? ホンモノ?? やだあ社長!! イケメててお疲れさまですう♡」
多田牧田ペアが甘ったるい声を出したが、え? 社長の顔を知らない?
しかも社長と認識してからのその態度。どこまでも限りなくぶれない。ここにも少しシンパシーを感じないわけではない。
私もお辞儀。
「うん。なんか重要な会議しているみたいって、坂崎が……」
ぶふっと杉田課長が吹き出す。
「顔出しておいた方がいいとかなんとか言ってたんでしょ?」
「そう。で? 坂崎は?」
「いない。今日は営業の事務処理班の多田さんと牧田さんが、小山田さんから事務の指南を受けることになってるだけだから」
「おっ、東西の巨塔が集結したんだね」
「やだあ社長ったら、私たちただの事務ですからあ。巨塔っていったら、我らが杉田課長と坂崎課長のことですよね♡ ねー小山田さん?」
「はいそーです」
おおう。この二人クネクネだが、さすが最難関の面接を通っただけある。巨塔の意味を履き違えてはいない。
「じゃ小山田さん、1課の二人のデスクの方に来てもらえる? たぶん事務処理箱の改革からしないと、効率化ははかれないと思うんだ。色々とアドバイス貰える?」
「はい。わかりました」
立ち上がり、ぞろぞろと会議室から出ていく。
ってか社長なにしに来たん?
ってか坂崎課長、なんで社長呼んだん?
私が最後に出ようと立ち上がると、社長が「悪い、杉田。向こうでちょっと待ってて。俺、小山田さんに話があるから」
と、のたまう。
会議室のドアをパタンと閉めて、社長がずいっと私の前にたった。




