営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART7
*
私はその日の朝、課長席に座る、坂崎課長をちら見していた。
(なんかパンパンやってる……)
謎行動が多いとはいえ、またまたわからない動作。坂崎課長が、右手の握りこぶしを自ずの左手に打ちつけている。
??
喧嘩上等!! みたいな雰囲気を醸し出しているなあ。
なんだろう。まさか私の顔面にグーパン食らわせようと、画策してるんじゃないだろーね?
まさかね。でもそのまさかが起こるのが、人生というもの。人生には、三つの『坂』がありまして。その中の一つが『まさか』なんですよってね。
刃傷沙汰……あり得る。
でもまあそんなことされたら、「この人性悪なんです!!」って、会社中、いやそれだけじゃない取引先、課長のご近所さん、親戚もろもろの前で暴露してやるからいっか。
生半可な復讐じゃ気が済まないからね!
「この人、こんな顔して性格悪いのに加えて、腹も弱々ですぐ下痢するんですよ!! 信じられますぅ〜?? イケメンなくせに下痢ですよ、あはははあぁぁぁぁwww」
そこまでやると名誉毀損。
「小山田さん、おはよう」
はっとして、顔を上げる。
「お、おはようございます」
声を掛けてきたのは、営業1課の杉田課長だ。
私は若干警戒した。ああこれね。昨日の夜、電話で坂崎課長が言ってたやつだこれ。
「あのさあ、小山田さんにお願いがあってさあ」
ポケットに右手を突っ込んで、スラリと立っているのを見ると、なんだかとてもかっこよな佇まい。
このお方も、坂崎課長にも負けず劣らずのイケメンハイスペ人間だ。
「はい、なんでしたか?」
「あ! こんなとこじゃなんだから、ちょっと会議室にいいかな?」
うーん。杉田課長ってば、いやに坂崎課長の方をニヤリニヤリとしながら、いちいち見やっている。それに応戦するかのように、坂崎課長も睨みつけていて。
あれ? 私も睨まれているね。なんなの!
いやそんな睨まんでも大丈夫ですヘッドハンティングじゃないしもしそうだとしてもきっぱりお断りしま……。
「はい、じゃ行くよ〜〜〜」
手を背中に回して、ぐいっと押されたが、これはセクハラではないのでしょうか?
ぐっと足に力を入れて踏ん張る。
権力に逆らう平民の図。
「うっそ〜やだあ〜杉田課長ぉ、小山田さんなんかより、私たちを呼んでくだされば、すぐにご一緒するのにぃ〜♡」
「ははっ嬉しいねえ。でも今日は小山田さんとうちの事務の女の子との会合があるからさ。また今度誘ってい?」
「はーーい、待ってまあす♡」
軽っ。
合コンか。




