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小山田さんが誰かと付き合うかもと考えるだけで、胸がざわざわする。
「そうだよな……これで決定だな。俺は小山田さんのこと」
いや、気が付いてはいた。コラボカフェに誘った時点で……いや、俺が本棚から『愛の成就ムック』を取り出し、側に置いた時点で、小山田さんのことをもっと知りたいと思っているのだと。
偶然の出会い。小山田さん? あんまり記憶にないな……どんな人だったっけ? とあの日、気になり出して、ちらちら見たり、お菓子BOXにファイブレのチョコレート菓子を撒き餌してみたりして。
PCを操作するフリをして観察していると、様子を見ながら(警戒しながら?)お菓子BOXへと吸い寄せられていくその姿は、まるでエサにつられてカゴの罠に近づいていくニワトリのようで、なんだか笑えてしまった。
(面白い子だなあ)
Φブレインが大好きなんだろうな。わかるよ、彼ら一生懸命だもんな。俺でもyoutube観てファンになるくらいだから。
よし。これをきっかけに、恋愛初心者を脱しよう。小山田さんは、『非ぶりっこ』のようだし、『愛の成就ムック』を小脇に抱え、かつてないほど、ぐいぐいといってみようと。そんな思考回路で、あれやこれやと画策し、今に至る。
だがそれをぶち壊すヤツが現れた。
そう。営業1課の課長、杉田だ。
アイツが小山田さんの話をするだけで、背筋がぞわぞわし、そして何がなんだかわからないが、とにかくムカついてくる。
先を越されてはいけない。絶対に小山田さんに告白し、小山田さんにも好きだと思って貰いたい。
これからも色々画策し、この恋を成就させるから!
俺は握りしめた右手のこぶしを、左の手のひらにパンッと叩きつけた。
やってやるぞと意気込みながら。




