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「失敗した」
またやらかしちまった。
セクハラ訴えを覚悟に電話したけど、明日の職場で話しても良い内容だったのは否めない。
しかも、『違う! 俺はまったく女の子なんか好きじゃないっ』ってなに??
俺、なに言ってんの?
あの言い方じゃ、あそう、じゃあBL(言わずと知れたボーイズラブ)ってことねって話になるだろ?
違うんだよ。俺はアイドルが嫌いなんだよ。ぶりっこだから!
ぞぞぞってなるから!
「けれど、小山田さんに関しては、ぞぞぞってならないんだよな……」
そこも不思議だ。小山田さんはぶりっこではないからか。それとも俺が小山田さんに少なからず好意を持っているからか。
俺は今日会議室で話した杉田を思い出す。
「明日、小山田さんに会ったら、事務処理の効率化についてコツでもあるのか、ちょい聞いてみようかな」
「仕事の話なら……」
「でも仕事の邪魔になってもアレだから、連絡先聞いて、飯でも誘おうかな」
「お、おま、そういうことやめろよ」
「何が?」
杉田は飄々とした態度で、にやにやとした笑いを浮かべている。いやらしいな!
「彼女はそういうタイプじゃないだろ?」
「そういうタイプって、どんなタイプだよ」
「遊びで付き合うような女性じゃない」
「まあ地味だもんなあ」
俺はカッとなって、大声を上げた。
「そういうことじゃない! お前のような女好きな男に、小山田さんが翻弄される姿を、俺は見たくない」
「ずいぶん肩入れしてんね」
ここまで言われて、はっと驚いた。本当だ。俺はなんでここまで……ムキに?
「違う、そんなんじゃない。営業2課から出てかれては困るから……」
「ふーん坂崎。だったら大丈夫だ。事務処理のコツを聞くだけで、引き抜こうなんて思ってねーからさ。じゃあまた明日な!」
杉田は、手を振りながら会議室を出ていった。軽い足取りで。
俺の胸はまだざわついている。そして、居ても立っても居られず、その日の夜、とうとう電話をかけてしまったというわけだ。




