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26/202

*3



嘘をつく理由がわからない。


気にしないようにしようとすればするほど、色々と考えてしまう。


「やめやめ、もう寝よう」


時計を見ると、まだ9時前。


「あ、早すぎた」


どうしても、ぼけっとしてしまう。もっとアクティブにならなくては。


「ファイブレのDVDでも観るか」


DVDとおつまみと缶ビールの用意をしていると、スマホからコール音が響いた。


(ん? 誰だろう)


スマホを見る。坂崎課長からの電話だ。


今日受けた請求書の件だろうか。最初は無視しようと思ったが、よく考えたら結局後で掛け直さねばなるまい。その方がめんどくさいなと思うと、私は電話に出ることにした。


「はいもしもしお疲れ様です」


『あっ坂崎です。夜に電話なんかしてすまないね』


「いえ、何か仕事のミスでもありましたか?」


『いや違うんだ。小山田さんの仕事は完璧のペキだよ』


気が重い。


「はあ」


『えっと……報告なんだけど。今日、営業1課の課長の杉田がね、小山田さんのこと褒めてて。これは伝えないといけないなと思ってね』


「杉田課長が?」


『そうなんだ。事務能力がすごく高いって評価していたよ。それでな、もしヘッドハンティングでもされたら困るなと思って慌てて電話したんだ』


「まさか! 私なんかが引き抜かれるだなんて、そんなこと絶対無いですよ」


『いやかなり評価は高いよ。小山田さんがいつも書類持っていく総務の加藤くんだってそう言ってたし。小山田さんからの書類はミスひとつないし、丁寧に振り分けされているから助かってるって』


「……そうですか。それはありがたいことです」


『とにかく杉田から声を掛けられるかも知れないけど、無視していいから!』


「はぁ」


なんかちょい浮上した。そこまでちゃんと見て貰えているなんて。


『杉田のヤツはファイブレとか芸能界にはまっ   たく興味ないし、小山田さんとは話が合わないと思うから、相手にしなくていいから! あいつボーイズグループより、女の子のアイドルグループの方に食いつくくらい、女好きだから』


出た。坂崎課長の謎行動。なぜそこまでファイブレを絡めてくるのか? そしてめっちゃ杉田課長をディスってるー。同期で出世も同じ。仲良いんじゃなかったっけ?


「まあ男性はだいたい女の子が好きですからね」


『違う! 俺はまったく女の子なんか好きじゃないっ』


「え? あ? へ? そ、そう……ですか」


『いや、えっとそうじゃなくて……』


しーん。空気が重い。電話の向こう、課長がバツが悪そうにしている。ようだ。しゃーない。ここは私が切るか。


「課長、わざわざお電話くださり、ありがとうございます。私なんかにヘッドハンティングなんか来ませんし、もし来ても営業2課から離れることは考えていませんから大丈夫ですって自分で言うのもなんですけど大丈夫ですそれではまた明日グッナイです」


これ以上喋らせないようにして、通話を切った。





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