営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART6
それは会社のトイレにこもっていた時だった。
「それでね、この前坂崎課長と一緒にカワノコーポレーションに行ったじゃない?」
「先週の金曜日だっけ? もうまじで妬けちゃうのよ。ほんといーなー羨ましい!!」
「ふふん、でしょ〜電車で隣同士に座ってさ、寝たふりして課長の肩にコテンってやったろうと思ったんだけど」
「嘘! あざとーい。で? うまくいったの?」
「それがさ、その時お婆さんが乗ってきて、課長ってばお優しいもんだから、お婆さんにどうぞって席を譲ってあげちゃったのよ」
「えーなにそれそのババア、邪魔すんじゃねえよっ」
うーーーーーん。
トイレから出られない。どーでもいー話は、給湯室でやってくれ。ここをどこだと思ってんの! 神々が住まう神聖なるトイレだよ!
「まあね。でも課長ってばお婆さんの荷物をね、上にあげましょうかって受け取ってから網棚にすっと上げてね」
「優し〜♡」
「で! 降りる駅はどこですか? 俺が下ろしますねって」
「ババアと代わりたい! ってかその荷物になりたい!」
心底どうでもいい。そんなにまでして、電車の網棚に乗りたいのか? あそう。じゃ転生して来世は荷物に生まれ変わったらどうでしょう。で、鉄道忘れ物市に出品ってことで!
「吊り輪につかまって……こう、物憂げに立つ姿がねえ。またカッコよくてえ〜はあ♡眼福でした♡」
もうそろそろ個室から、わあああって狂ったように出ていってやろうかな。って、できんけど。
「私が『課長ってお優しいですね。ご家族も課長のこと、頼りにされてるのではないですか?』って聞いたら、『それはどうかな』って言うからさ。『絶対頼りにしてますよ。私が課長の妹とかだったら、絶対に甘えてますもん。もちろん課長のご兄弟ともうまくやっていく自信あります♡』って」
怖っっっ匂わせ!!
女子すげーな。確かにこれはハイエナだ。
でも課長はきっと、
(誰が家族に紹介なんかするかよ、この妄想ストーカーヤロウがっ!!)
ってな具合に思ってるだろう。
私、坂崎課長のこと、わかってきたな。
けれど次の瞬間、この井戸端会議で、最も衝撃的な発言が出た。




