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21/202

*3

回想スタート


そう。あれは俺が、偶然『Φブレイン』のライブチケットを手にしたことから始まった。


「は? ファイブレイン? なにそれ?」


電話越しに、方言丸出しのでかい声が響く。


『あんた!! ふぁいぶれいん知らんのかい? まだ若いのに枯れとるねい。母ちゃん、ライブのチケット取れたはいいけど、孝子の入院で、かどやを手伝わにゃいけんくなったもんでな』


孝子さんは俺の叔母さんで、かどやは孝子さんの旦那さんが営んでいる食堂だ。


「それで孝子さんは無事なの?」


『おう大丈夫大丈夫だあ。あんた、信じらんかもしれんけど、孝子な、ひまわりサロンに歩いて向かう途中にな、マウンテンバイクっつの? いかついスピードでガツンだったのよ。それなのにぶつかった自転車の方が大破して廃車だとさ。そんなわけでな、チケット要らん?』


孝子さん、すげえな。


「え、俺ボーイズグループとか、あんま興味ないけど……」


『ゆーちゅーぶ見てみんしゃい。あん子ら頑張っとんよ。とにかく母ちゃん行けんくなったから、悠が行ってくれなもったいないからあ』


「わかったわかった、じゃあチケット郵送し、」


途端にスマホがシュポっと鳴った。


『今どきは電子チケット!! 送っといたでな』


プツンと通話が途切れたので、画面を見ると、電子チケットの受け取り方が書いてある。


「すげえなオカン、スマホ使いこなしてんな」


会場の住所を見ると、現在住んでいるところと、実家の真ん中辺りに位置する、ちょっとした都会でやるらしい。


「仕方がない……まあ気晴らしに行くか」


その前に事前準備で曲でも聴いてみるか、なーんて思っていたら……


Φブレインのオーディション番組をYouTube見てたら、沼った。

メンバー皆んな歌は上手いし、ダンスもキレッキレだし、若いのにすげー苦労してるし、頑張ってるし。


感動した。メンバーがオーディションでなかなか自分の実力を出せなかったり芽が出なかったりで、悔しくて泣いた時には、俺も一緒に泣いたりして。


徐々にライブの日が近づいてくるにつれ、俺はすごいワクワクして楽しみになっていた。が、一つだけ懸念事項。


「きっとライブは女性ばかりだと思うし、会社の同僚に会ったりしたら微妙だな」


俺の会社は女性も多く活躍している。知り合いに会ったら面倒なことになると思い、サングラスにキャップ、いつもは絶対に着ることのないダサい服、「I LOVE Φ」と書かれた推しTを着用し、現場に臨んだのだった。


当日は、歓声と熱気に包まれた、良いライブだったことは言うまでもない。


けれど、ここで出逢ってしまった。


小山田さんに。


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― 新着の感想 ―
Φブレイン 課長、やっぱしガチ勢だった。 母親のスペックも高そうで この親にしてこの子あり の香りがします。 ( ・∀・)イイ!!
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