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「ははん……そう来たか。この潰れたあんまんめが!!」(←根に持っている)
私はスマホの画面を見ながら、歯を磨いていた。
『お疲れ様。今日はカフェでトイレが長くなってしまって申し訳なかったね。汚い話でごめんけど、下痢ってました』
んなわけあるかー。
イケメンハイスペ課長は、アイドルと一緒で、下痢なんてしない。(断言)
違うのよ、あれは絶対に放置プレイなのよ。
私は洗面所に戻ると、蛇口から水を出して口をゆすいだ。
だいったい、どれくらいの時間、カフェの店員さんとキャッキャキャッキャしてたと思う?
29分59秒よ?
私ね、途中でね、時計を見たの。それでね、時計の針が30分をさしたら、帰ろうって心に決めたの。
まだ来ない。もう帰っていいよね?
これ絶対帰るやつ。むきーー!!
んで、帰ってやった。
まじでムカつく。30分も放置する?
やっぱ私のこと、道端に咲くペンペン草か、しがない透明人間だと思ってんでしょ?
もうほんと、性悪すぎる。
で? 夜までまた放置で、ようやく来たお言葉が。
『下痢』
終了だなこれ。ってか、レンジくんのコースターもGETしたし、もう連絡もすることもないから、まいっか。
『お疲れ様です。私こそ、先に失礼してしまい、申し訳ありませんでした。私も下痢でしたが、トイレがなかなか空かず、右往左往した結果、そのまま直帰しました。駅のトイレで間に合いましたが本日はありがとうございました』
で、いいかな? 文章に、粗相はないかな?(←内容は粗相だらけ)
これなら……ああそうだったんだ、それならば仕方がないね、と思ってくれるだろう。
送信した。
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「あ。下痢だったんだ。あそう。下痢なら仕方がないな」
だから、あんなにも直ぐに帰ってしまったんだ。(←せいぜい10分程度の放置だと思っている)
「せっかくのでででデートだったのに」
缶ビールをあおるように飲んだ。
うまくいかないな……。
放置は失敗、か。
ノートを閉じて、さらに飲んだ。




