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17/202

*2

「やば、騙されるとこだった……」


私はストローをアイスカフェオレにぶっさし、ぞぞぞと吸い込んだ。喉元をひやりとした液体が通っていく。


「やだあちょっと待ってくださいよー」

「ほんと良いんですかあ」

「冗談ですよねえ」


まだ、向こうの方から、キャアキャア笑い声が響いてくる。


(盛り上がってんなー……ナンパでもしてるのかな……)


ミルクの甘さとコーヒーのほろ苦さが舌に残った。



放置。

これが効果的なこともある。

確かに俺は、カフェの店員さんと仲良くなって、「彼女にどうかレンジをお恵みください」とお願いしてみた。

ダメ元で。

だが、こんなに上手くいくとは思わなかった。結構、コラボカフェって……適当だな。


小山田さんは今、レンジのコースターを手にして、身動き取れないほど、感動の渦に巻き込まれているだろう。


震えているはず。俺がコースターをやらん!って言った日のように。


飛び上がって喜んでいるかもしれない。感激の舞を踊っているかもしれない。そんな姿を見たい気もしたが、俺は今、長時間小山田さんを放置している。


カフェの店員とひと通り世間話をしたら、トイレ(←こっちが本命)に行って用を足し手を洗う。


(もうそろそろ感動の渦も収まっているころか)


席へとゆっくり歩いていく。牛歩。


課長! 待ってましたよ見てください! レンジくん当たりました!!


とびっきりの笑顔で、きっと俺に見せつけてくるだろう。


私、今日はすごく運がいいみたいです!!


ってね。俺が店員さんにさりげなく頼んだおかげだけどな。まあこのカラクリを暴露して、レンジのコースターが手に入ったのは、この俺のおかげだと恩を売っておくのも手……か。


「すまない、遅くなって。待たせたな」


そう言おうと思ったのに、あれ?


「え? 小山田さん……は?」


そろりと席に座る。小山田さんがいない。


「トイレかな……」


いや、トイレへの動線に小山田さんの姿は見ていない。では俺がトイレに入っているうちに、トイレへ? トイレtoトイレ? fromトイレ?

それはあり得る。

俺はストローをアイスコーヒーにぶっさし、ぞぞぞと吸い込んだ。


小山田さんのアイスカフェオレを見ると、ほぼ空。下の方に薄茶の氷が残っている。

おなかに攻撃をくらい、トイレに駆け込んだのかもしれない。


「……少し待ってみよう」


だが、小山田さんは戻らない。帰ってしまったのだろうか。慌てて、スマホを見る。着歴もなければ、LINEもない。


放置しすぎたのかもしれないと、そこで己の愚かさに初めて気がついた。


「やばい、小山田さん……怒ってるかも」


ずうんと落ち込んだ。








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― 新着の感想 ―
(ΦωΦ)フフフ…小山田さんは、そんじょそこらの女じゃないだぜぇ〜 って、なんだか気分良い。
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