営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART4
不可解だ。不可解すぎる。
こんなにも天気の良い、いつもなら心うきうきな日に、なぜ私の上司坂崎課長と、Φブレインのコラボカフェにいるのだ。
コラボカフェは今日が最終日。
仕事が山場を迎えて忙しい日々を送っていた私は、引き出しにレンジくんのコースター事件以来、このコラボカフェに来ることができていなかった。
「小山田さんのLINEさ、淡白だよね。業務連絡かと思ったよ」
口角を上げ、ふ、と笑う。
ん? そんなにだったかな?
『それで、この前話してたコラボカフェなんだけど、次の日曜日が最終なんだってね? その日、9時に待ち合わせでどう?』
『かしこまりました。それでは当日はどうぞよろしくお願い致します』
「プライベートのLINEもこんな感じなの?」
ちゃうわ! そりゃあんたが上司だから!
私は呆れながらも、話しを続けた。
「それより課長。課長はお姉さまの為に、朝イチでコラボカフェの列に並ばれるなんて、お姉さん思いでお優しいですね」
と心にもないことを言う。まあ知っちゃってるからね、課長の性根が腐ってるってことはさ。
「んー? まあね」
じがじさーん。謙虚であれ。
向かい合って座り、店員さんに注文。
「アイスカフェオレとアイスコーヒー注文したけど、ファイブレのさ、ほらあの赤髪の……ダンスの子……」
「ダンスを愛しダンスから愛される男、レンジくんです」
「……ああはいレンジくんね。その子のコースターだといいね(^∇^)」
微塵も思ってないこと軽々しく言うんじゃない。
コラボカフェの命中率を舐めたらいかんよ。
私なんて、どれだけお腹に攻撃をくらったか。
「ちょっと失礼」
坂崎課長が席を立つ。
「トイレは……と、向こうかな?」
キョロキョロしながら、さっさと行ってしまう。
私ははぁとため息をつき、お水を飲みながら、とりあえず息を整える。
緊張するわー。(←そうは見えないやつ)
(はあぁぁなんなのこの状況は。どうしてこんなことになっちゃったんだっけ?)
私は周りをぐるり見渡した。女性ばっかりだ。男性といえば、カレカノのカップルだったり。まあ課長もお姉さんのためとはいえ、こんの女性の巣窟みたいな場所には来にくいかもな……。
「なるほどそういうことか」
私はダシに使われただけだ。こんなとこ、男ひとりで来店するのは確かにキツい。
レンジくん当たるといいね、とか口では言いつつ、頭の中では何を考えているか全くわからない。
いやわかる。小山田さんって地味だしオタクだしその生態が気になるわ、いつも悪口やら文句やら垂れ流しちゃってるし、たまにはまともに喋ってみるか。くらいだろうか。(←底辺につきそうなくらい低い自己肯定感)
推しのグッズを餌として撒いておけば、直ぐに食らいついてくるだろう、ぐらいに思われてるのかも。
ってことは?
あのファイブレのチョコレート菓子、ウェハース事件の犯人は……
=課長。
ということになる?
(まあお姉さんが好きってだけで、ファイブレに興味も何もないんだろうけど)




