*6
「わあ。高いですねー」
「見晴らしがいいね」
「はい。すごく綺麗です」
「ちょっと揺れてるね。怖くない? 大丈夫?」
「大丈夫です。かちょ……えっと、悠さんは怖くないですか?」
くぅーーー。いい!
「怖くないと言えば、嘘になるけど……これからてっぺんに向かっていくから、もっと高くなるよね。手を繋いでいてもいい?」
「あはい」
ぎゅう。と手を握る。可愛いな、小さな手。しっとりしてて、肌が合う。違う! エロい意味じゃなくて!
「咲ちゃん、俺、咲ちゃんのこと好きなんだけど……そういえば、俺のこと好きなのかどうか、聞いてないから、俺、どう思われているか気になってるんだけど……」
「え、え、え、え、わ、たしで、すか??」
どもりかたも可愛い。
「うん。お付き合いを承諾してくれたのは、すごい嬉しかった。でも、そういえば俺のことどう思ってるかな、って」
「かちょ、悠さんのこと、ですか……」
ここで、あなたのことが好きだからーーーって聞けたら、最高なんだが。はっきり言おう。もし好きですと言って貰えたなら、俺はその雰囲気を押し通して、またおでこにチューをして、その反応を見つつ、可能であれば次には唇にチューできたらなあ、などと願望っていうか、切望っていうかがある。
「俺のこと、どう思ってる?」
率直に。俺は聞いた。だが、小山田さんは何かを言おうとして口を開けたのだが、何も言わずまた閉じてしまった。沈黙が痛い。
「咲ちゃん?」
小山田さんは、はっと顔を上げると、
「課長……その前にお聞きしたいことがあるんです。これだけは確認しなくては、ということがあって……」
ごくっと唾を飲み込んだ。なんだか、とても雲行きが怪しくなってきた。
ゴウンゴウンと観覧車が回る音が耳に入り込んできた。それほどの緊張感。それほどの静けさ。
俺はその静寂を破って、声にした。
「聞きたいことって、どんなことなの?」
俺は覚悟を決め、ごくりと再度唾を飲んだ。




