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「は、はい……ありがとうございます」
男性二人はちょい目のやり場に困った風な表情をして、そのまま歩いていった。
「ごめん、勝手に名前で呼んで。でも小山田さんのこと狙ってそうだったから、俺の彼女だってこと、ちょっと言いたくって」
それはない。
課長〜どこ見てるんですか〜 私、ですよ?
名前呼びだなんて、夢でしか経験がない。なんか気恥ずかしいです。
「俺のことも名前で呼んで欲しいなあ」
と呟き風に仰るもんですから、「課長は課長ですから……」
「悠くん、はどうかな?」
「むむむ無理です」
顔がほてってくる。手でうちわ。熱い。
「じゃ悠さん、は?」
どっへい。
「そ、それなら……はい」
「じゃあ呼んでみて」
「……悠さん……」
せっかく清水の舞台から飛び降りるほどの気概で言ったのに、課長は無言。へい! 無言かい!
いや違う。なんか。感動してる?
「ありがとう。これが名前呼び……すごい破壊力だったよ。俺には一生無理かと諦めていたけど、夢が叶った。ありがとう、ありがとう」
噛み締めてた!
「さっきは背伸びして、呼び捨てにしちゃったけど、これからは俺も咲ちゃんって呼んでいい?」
「はい」
「さっそくだけど、咲ちゃん。どれに乗りたい?」
くすぐったい。
「まずはジェットコースターに!」
「よし行こう!」
出してきた課長の手を取る。
私と課長は、絶叫系アトラクションに乗った後、シューティングやホラー系など、一日中園内を回りに回って楽しんだのだった。
そして最後に観覧車。
「高いところ、大丈夫?」
「はい。結構平気です。得意な方です」
「デートのテッパンと書いてあったし、楽しみにしてたんだ」
「じゃあ乗りましょう」




