坂崎課長と小山田咲のお付き合いが斜め上の件
坂崎課長。
WEB制作会社『SSK企画』の本社ビルでは、5階の営業2課オフィスだけではなく、総務、経理など隅々にまでその名は知られている。
おさらいしよう。
アラサーだというのにふっさふさのカーリーな黒髪に堀の深いヨーロピアンな端正あるお顔、ホワイトニング必須な歯、ぴっちぴちにハリのある美肌に、スラリと長い脚と腕。もちろん身長は180オーバー。
それに加えて、営業先にもファンクラブがあるとの噂。イケメンなのに、さらにハイスペック。さらに性格は優しいし、さらにモテる。さらに倍!! さらに倍!!
私。
小山田咲。
齢むにゃむにゃ歳。体重むにゃむにゃ、身長むにゃむにゃ、髪型は黒髪肩までのストレート。
職場では後ろにひとつ結び。(決してポニーテールではない)
顔=地味
服=地味
雰囲気=地味
性格=地味
地味のカルテットww
しかも、趣味は玄人好みの推し活と人間観察。
以前は営業2課にて事務部隊、現在では、若狭優社長の秘書として、汗水垂らしてます。
汗水なんて垂らさないって?
垂らすわ!
緊張による大汗、ミスした時の冷や汗、まだまだ若い!脂汗、などなど。
毎日が充実しているとはいえ、仕事内容は大変の一言に尽きる。
しかも。
「小山田さん! 悪いけど、営業に行って坂崎、杉田にこの書類持ってってくれる?」
若狭社長だ。
坂崎課長とお付き合いすることとなったと報告したため、(イケスペ三銃士の面々には知らせてある)いやに営業のオフィスに行かそう行かそうとしている節がある。
「かしこまりました」
渡された書類を見る。
『『SSK企画』の歩み・第一部』(若狭優 著)の原稿。自費出版。
「俺のことがカッコよく表現できているかを、チェックしてくれと伝えるように」
「あはーい」
営業2課へと書類を持っていく。(←1課は受取拒否なので省略)
「あらあ、社長秘書の小山田さーん。お元気かしら〜〜」
「お元気に決まってますでしょ? だって、お給料たっっくさんいただけるからあ」
「羨まし〜」
ね〜〜♡と、声を合わせて笑う。
辛い。が、仕方あるまい。
坂崎課長がいるからまだ、この程度で済んでいる。




