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小山田さんが振り返り、「どうしましょう? どうしたらいいですか?」と不安そうに呟く。
「出よう」
二人で玄関へと向かう。
そして、ドアを開けると。
「小山田さん、は、話しがある……ん、だ、え? どうして杉田がここにいるんだよっっ!!」
おおう。イライラしてるねえ。声がいつもより乱暴だ。俺はもっと、イラつかせたくなって、こう言い放った。
「おまえ、美香と結婚するんだってなあ。だったら小山田さんは俺が貰うからなっ」
って豪語すると、小山田さんが首をぐぎぎぎぎと顔を後ろへ回す。
……あのね、小山田さんさあ。
あんたなんでそんな不服そうな顔してんのよ、どういう感情なのそれ。
まあいいや。とにかく、俺は背後から小山田さんを軽く抱きしめた。
だーかーらー、そんな嫌そうな顔しない!!
だが、これはコウカテキメンだ。坂崎が鬼の形相に。
「杉田、やめろ」
「おまえ、小山田さん泣かせて、どこほっつき歩いてたんだよ」
「あれからすぐ、ここに……でも待ってもなかなか来ないから、もう一度……」
ガサガサっと音がした。よく見れば、左手に花束を持っている。
「買い直してきたのか?」
「あ、ああ。7時50分くらいまでは待ってたんだけど……」
おっしーい。あと10分後に小山田さん帰宅だったよーー!
「とにかくどういうことか、話せよ」
俺はそう言うと、あごをくいっと坂崎を中に促した。
こたつを挟む。
話し合った結果。
「とにかく全部美香が悪い」
そう結論が出た。
坂崎はもうこれ以上ないってくらい落ち込んでいる。そりゃそうだろう。一世一代の告白を、台無しにされたんだからな。
「次は警察呼ぶって言っといた」
「それぐらいしないとあいつはだめだ」
小山田さんを見ると、かぴかぴになった顔を、さっきからティッシュで拭いてさらに、かぴかぴにしている。
乾燥は大敵だぞ。
「それで杉田は、本当に小山田さんを愛してるのか?」
え? なんのはな……し、じゃなかった。さっきのやつね。そうだ、そんなこと言ってたなあ俺。




