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126/202

*1

「そうではないです」


カショとプルタブを開けて、缶ビールをごくごくごくごくと一気に飲んだ。


「すみません、なんかわからないんですけど、喉がすごく乾いてて」


そりゃ3時間も彷徨ってたら喉も渇くだろうよww


「坂崎課長は、美香さんと結婚されるそうです」


小山田さんの目から、また涙が溢れてきた。小山田さんはのそりと動くと、ティッシュを取り、ぶーんと鼻をかんだ。


ずっずっと鼻を啜り、はああと盛大なため息をつく。


「杉田課長、こんなことで泣いてしまってすみません」


「なんでそんなことになってるか、わからんけど、いいよ。泣け泣け。泣いたら多少スッキリするだろうからな」


俺は続けた。


「それに、坂崎は美香とは結婚しないよ、絶対に」


「ですが……こう、坂崎課長の膝の上に美香さんが乗って……で、こう」


小山田さんが、自分をギュッと抱きしめている。可愛いなあ。


「で、こうして……えっと、キスを」

 

「はあ?! キスう?? ないないないない! あの坂崎に限って、それはないわ」


「でも、こうして、で、美香さんがこうきて、それで、こんな感じで、結婚祝いに来てくれたのね!みたいな」


「嘘だろそれ。坂崎のアホめ、美香に強引に迫られたか」


「でも課長、美香さんに花束渡してました……」


「それな、おやっ   さんに……っと」


この様子じゃまだ告ってないから、俺の出る幕じゃねーか。


「はい。好きなタイプは、おやっさんな女性。承知しています」


???


「とにかく、もう一度坂崎の話を聞いてやってくんね? 絶対に、ボタン掛け違えてるだけだから」


「?? そうでしょうか」


「そうです」


と、そこにピンポーンとチャイム。小山田さんがインターフォンを押す。背後から覗くと、そこには坂崎が立っていた。


(ようやく来たか。3時間放置は考えられないからな。あちこち回ってたんだろうな)


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