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119/202

*1



『小山田さん、小山田さん……』


夢うつつの中、坂崎課長に呼ばれている。耳元で囁かれでもしているように、とてもくすぐったい思いがした。


『小山田さん、こんなところで寝たらだめだよ』


ん……。


目が覚めた、気がした。目をそっと開ける。

そこには、坂崎課長の顔。

なんつー破壊力。

課長の目って、少し茶色がかってるんだ。

濡れた前髪が、その目を少しだけ覆っていて、いつもの分け目のある、ピシッとした課長よりも、幼く見える。

童顔なんだ。可愛いな。


『小山田さん、ちょっとごめんね』


そして、身体がふわっと浮いた感覚。ゆらゆら。舟にでも乗ってゆらゆらな気分。

身体が温かい。そして、ふわりと包み込まれた気がした。


再度、意識が遠のき……


朝までぐっすりと眠ってしまった。



バタン!!


と、お尻に激痛で、はっ    っっきりと目が覚めた。


「いぃぃ痛ったあぁ」


ベットの横、床に座っている。この状況からいって、ベッドから落ちたのには相違ない!!


「小山田さん、大丈夫かっ??」


ベッドの向こう側から回り込んで課長が駆けつけてくれた。腕を取り、手を引っ張って起こしてくれた。


「す、すみません。どうやらベッドからおち……」


ん? どういうこと?


「あれ? 私、ソファで寝てたはずなのに、」


課長が手を頭に当てて、えーーーっとそれはだね、と言い淀んでいる。


朝イチで見ても、課長かっこよ。

じゃなかった。これどういう状況??


私が頭を???でいっぱいにしていると。


「女の子をソファで寝かせるわけにはいかないよ」


「それはつまり……」


「だから、俺が抱っこしてベッドに……」


ぎゃーーーーー


「一応、小山田さんに許可は貰ったんだけどね」


ああーーーーー


「おもおもおもおも」


「え? 全然重くなかったから大丈夫だよ」


「ねむねむねむねむ」


「眠っていたから、そっと下ろして布団掛けておいたよ」


「ありっとうござっした〜」


じゃないよ! やだ! 信じられない! オーマイガ。こんなマンガみたいなことある?

イケメンにお姫様抱っこされるワイ。

ぱっりーーーーんっっ。(←何かが壊れた音)


私は焦ってレンジくんのぬいをぎゅうぎゅう抱き寄せた。


「す、すみませんすみません! では課長がソファで寝たんですか? ってか私、下僕であるロバごときが、上司である課長を差し置いて差し置いて差し置いて……」


「いやいや、そんなのいいって! 男なんかどこでも寝れるから。大丈夫だよ!」


課長は笑って、「それより泊めてくれてありがとう。ほんと助かったよ」と、清々しい笑顔。


「でもでも寒くなかったですか?」


「んーー寒かったから、勝手に申し訳ないけど、ファイブレのブランケット借りたよ。あとレンジくんのぬいぐるみも」


ふあ!? なんだって!?


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