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117/202

*4

それはありがたい。


小山田さんと若狭が同じホテルはアウトだが、俺はOK。自分には甘いが、小山田さんの周りの男はみんな敵なのだ。


ってか、小山田さんは本当は若狭と同じホテルが良かったのかもしれないけど。(←『社長は別格枠』が引っかかっていてちょっと卑屈)


けれど、小山田さんは「じゃお疲れ様でした。また明日よろしくお願いします」と、その場を未練なく、離れようとした。


ならいっか。


そして、ホテルに到着した。


「小山田と坂崎の名前で二部屋予約してありますが……」


フロントの女性が、PCを見る。


「小山田さまのお名前でしか、ご予約を承っておりませんが」


「え、じゃあ若狭の名前で予約は?」


「ありません」


ん? どういうことだ?


「ではもう一部屋予約したいんですが」


「申し訳ございません。本日は満室でございます」


「……そ、そうですか」


若狭のやろう、手違いにもほどがあるぞ。


「小山田さん、若狭がミスしたようだ。俺は終新幹線で帰るから、君はゆっくり休んでね。じゃ」


そこでフロントスタッフが慌てて引き留める。


「お客様、実は先程ニュースでやっておりましたが、新幹線が線路沿いの火災のため、本日は完全運休となってしまったようです」


「ええ。そ、そうか。ついてないな。じゃあどこか近隣のホテルを探して……」


ホテルの女性スタッフは申し訳なさそうに、「この時期はどこも満室だと思いますよ」


一瞬の沈黙ののち、スタッフが笑顔で、「もしよろしければ、」


「か、課長!!」


小山田さんが声を張り上げた。


「予約したのは、セミダブルです!!」 


と言う。


は? え? ほ?


「とりあえず、この部屋二人でお願いします」


「え、ちょ小山田さんっ」


「……かしこまりました」


PCを、カタカタタンッと叩く。


「ではこれがルームキーでございます。ごゆっくりお過ごしください」


「はい」


小山田さんがルームキーを受け取ると、カバンをがばあっと肩に掛けて、エレベーターに向かってずんずんと進んでいく。


「小山田さん!」


俺は追いかけて、エレベーターの前。小山田さんは無表情で『上』ボタンを連打している。

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