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そして、
『それでですね、なかなかホテルが空いてなくてですね。とりあえずお部屋は一つは確保してあるから安心だとは、仰っていました』
安心? はあ??
部屋が一つだったら、二人で泊まるしかないじゃないか! どこが安心なんだよっ。
何やってんだ若狭は!!
「行く。俺も行くから。退勤したらすぐ新幹線乗るから」
送信。ピロン♪
『どうして課長が?』
ここで、ハタと気がつく。そうだった。小山田さんが、楽しみにしてると。
だが、男女二人でホテルの同じ部屋、お菓子パーティーく、ら、い、な、ら、
だめ。
「秘書就任後、初出張記念を祝って、飲み会しよう! 杉田も誘うよ!」
『承知しました』
明日に向けて、とりあえず今日は寝よう。
あんまり深く考えたくなくて、俺は直ぐに寝床に入った。
*
(ホテルの予約はどうするのかな)
行楽シーズンということもあって、ホテルはどこもいっぱいで。
若狭社長も苦労して、予約されていた。
(課長、今日泊まるところ、大丈夫なのかな)
チラと横を見、様子を伺う。
あの後、課長にLINEを送ったが、返事はなかった。
「あ、社長」
若狭社長がトイレから戻ってきた。
「お待たせ〜。それにしても小山田さん、ミヤノコーポレーションの件は、うまくまとまりそうで良かったよ」
「はい。契約書も速攻で郵送してくださるということですので、会社に戻りましたら、さっそく詳細とともにWeb担当課に回しますね」
「うん。頼む。さすが小山田さんだねー。小山田さんの仕事ぶりは、素晴らしい!! 俺も満足してるよ」
「ありがとうございます。ご期待に沿えるようこれからも精進します」
バッグをぐいっと肩にかけ直した。
「それにしても、すごい荷物だね。中身は洋服とか?」
「いえ、中身は……ファイブレのレンジくんのぬいが入ってます」
「ぬい?」
「ぬいぐるみのことです」
「ええ! ぬいぐるみ持ってきたの?」
「はい。これがないと、眠れなくて」
「えーーーこれがないと眠れないなんて、可愛いーなー!! な? 坂崎!!」
社長にふられて坂崎課長をチラと見た。だが課長の様子がおかしい。なんだか、わなわなしているようだ。
「若狭あぁぁおまえなあ。ちゃんとホテル取ってたならそう言えよっ」
「まあ、小山田さんとは別のホテルだけどね。どこも空いてなくてねえ。今の今までかなり苦労したよ」
「ってことは俺の泊まるところは……」
「ないな」




