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『ホテルの部屋、やっと予約取れた。セミダブル。よろしく』
そして。
『あ、悪い。送信先、間違えた』
ぷぷぷう。なにこれわざとらし〜〜
これめっちゃ古典的な手法ww
坂崎は……
地味にくらってるうww
こんどは真っ青になっている坂崎を尻目に、俺は笑いを堪えることに集中した。
*
『セミダブル』
グーグル師匠に聞いてみる。
「セミダブルって……」
すると、師匠が『セミダブルってのはこれだよ!!』って画像を出してくる。もちろんベッドだ。
二人で寝るやつ。
二人で寝る……
二人で……
「若狭、おまえまさか小山田さんと同室ってことはないだろうな?」
LINEを送信。既読にならない。そこで俺は初めて、時間が夜の9時をとっくに回っていることを知った。
小山田さんに聞いても失礼はないだろうか。
「小山田さん、明日の出張、くれぐれも気をつけて行くんだよ。そういえばさ、泊まるホテルって、ちゃんと二つ部屋取ってあるよね? いやあ、元上司として、確認っていうか……元部下の身の安全を確保するのも、元上司のつとめじゃないかなって思って!」
俺、下手くそか。
でもこれ以外の文章が思いつかない。これで送ってみよう。
「なんか俺、女々しいなあ」
ため息しか出てこない。こんなにも恋とは、息苦しいものなのだろうか。
これが、告白し上手くいって、付き合うようになったら、こんなに不安に思うことも無くなるのだろうか。
わからない。すべてが初めての経験だ。
他の男に奪われたくない。
今ならまだ、小山田さんには恋人がいない。チャンスなのだ。足踏みしてる場合じゃない。積極的に行かなければならない。
「でも恋愛難しいとか言ってる場合じゃないぞ」
俺は決意を新たにした。
そこで、ピロン♪
『初めての出張、緊張しています。先方に失礼のないよう、頑張ってきます』
俺はこの一文を読んで、「小山田さんなら失礼なことになんかならないから大丈夫だよ」と送った。
若狭ならあり得るけどな。




