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111/202

*1

俺は大いに焦ってしまった。


「おい! 杉田っ、やめろよっっ」


「だいじょーぶ。だいじょーぶ。小山田さん、今絶賛、記憶無くし中だからさ。オラオラ仮面だから覚えてないって」


「そうだけど……」


俺と若狭が、小山田さんを覗き込んだ。


小山田さんは、幻覚で鼻ちょうちんが見えてしまうほど、こく、こく、とあごを打って眠っている。


「大丈夫みたいだな」


酔っ払った杉田もウザいが、この状況で寝てしまえる小山田さんもすごい。さすが、オラオラ仮面。


帰りはタクシーを捕まえて、俺が送っていったのは言うまでもない。



「明日から出張だから。泊まる用意してきてね」


「かしこまり……はっ?」


社長室でのことだった。


私はメモに『出張』と書き入れると、驚きで顔を小刻みに跳ね上げてしまった。かつてのピスタチオのように……白目


「わ、私も……ですか?」


「うん。帯同して欲しい。もちろんホテルは別々の部屋だから心配しないでよ」


「そんな心配はしてませんが……坂崎課長がこの前、」


言いかけて口をつぐんだ。


「あれ? 小山田さん、この前の飲み会のとき、起きてたの?」


半分寝てたとは言いづらい。


「もちろんですよ! ロバはちゃんと習え右! で、三銃士に着き従うのが、宿命ですから」


「ちょっと何言ってるかわからないけど……じゃあ坂崎が、出張だめだめだめーーって言ってたの、聞いてたんだね」


「……あはい」


なんか雲行きが怪しくなってきた。


「じゃあさ、その後の杉田が言った、小山田さんのことが好きだからーーって、叫んでたのも?」


「……あの、愛してるーーじゃなかったですかね」


「おお。オラオラ仮面だったのに、覚えてたんだねえ」


「でも!」


私は苦笑い。


「ぜ、全然本気にはしてませんから、ご安心ください。杉田課長もご冗談が過ぎますよね」


「いや、まあ冗談っていうか、真実はいつもひとつぅぅ!   っていうかね」


「え゛」


いやまじでか。杉田課長が???

若狭社長が、ん? と首を傾げる。


「もちろん杉田課長は素晴らしい才能をお持ちで、イケメンでいらっしゃいますが、少々女性関係に関しては、意見の相違と申しますか、考えが浅はかと申しますか、そういうところがございますので、わたくし、杉田課長とは……ちょっと……」


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