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108/202

*1

「……嘘でしょ、いるじゃん彼女」


ごくんと唾を飲み込んで……。


落ち着くように自分に言い聞かせる。


……やっぱり性悪だったんじゃない?

優しいのだって、嘘っぱちな優しさで、私、騙されてたんじゃない?


しばらく呆然としていた。けれど、次には。


涙がじわっと滲んできて。

なんだか、悲しいし悔しい。苦しいし、辛い。辛いよ。


わあっと泣いた。泣いてしまった。自分が情け無くて情け無くて。


私みたいな地味子は、好きとか愛してるとかとは、すっごく遠い存在だし、恋人とかそっこー無理だし、いいんだ、これからもレンジくん一筋でいくから!!


……でもね。ずっとそう思っていた。のに。いつのまにか、坂崎課長が、私の奥深くまで入ってきていて。


「追い出すの、難しいかも……」


ひとしきり、私は泣いた。



ピンポーン。

ドアのチャイムが鳴った。こんな時間に誰だろ。


私はティッシュで鼻をかんでから、乾燥したかぴかぴな鼻の下をさすりながら、インターホンへと移動した。


っていうか、Ama-zonで何か注文したんだっけ?

推し活はネットでポチることが多いので、何かしら注文したことを覚えてなかったりする。

カメラの画像を見る。


ん?


遠い目で見る。ん?


目を細めてみる。ん?


「え!? 坂崎課長!?」


なんでなんでなんで?

頭の中は????で埋め尽くされた。


すると、もう一度。ピンポーン。


慌てて「はっ、はいっ」


『あの、坂崎です。こんな夜遅くにごめん。少し話しがあって……少しだけいいかな……あっ! 部屋には絶対に上がらないからっ』


「はい、ちょちょちょっとお待ちください」汗


なんでなんでなんで???


焦りながらも鏡をチェック。ボサボサな髪を手ぐしで直して、深呼吸。ふーすーはーふーすーはー。


ドアを開けた。


「……ど、どうされたんですか?」


坂崎課長はいつものピシッとしたスタイルではなく、部屋着のような上下スウェット、サンダルみたいなものを履いている。髪も前髪が下りていて、いつもよりボサボサっぽい。


ん?


サンダルが左右反対のような気がして、少し気になった。側には一台の車がハザードを出している。


どうやら坂崎課長が運転してきたようだ。


「こんな時間にごめん。さっきは電話ありがとう。それでね、あの……これ見て欲しいんだ」


課長がスマホをポケットから取り出す。


動画を再生。


すると、『おいなんだこれは?』


杉田課長の声。


『なんかドンキーに売ってたのよ』


これは若狭社長。

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