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「……嘘でしょ、いるじゃん彼女」
ごくんと唾を飲み込んで……。
落ち着くように自分に言い聞かせる。
……やっぱり性悪だったんじゃない?
優しいのだって、嘘っぱちな優しさで、私、騙されてたんじゃない?
しばらく呆然としていた。けれど、次には。
涙がじわっと滲んできて。
なんだか、悲しいし悔しい。苦しいし、辛い。辛いよ。
わあっと泣いた。泣いてしまった。自分が情け無くて情け無くて。
私みたいな地味子は、好きとか愛してるとかとは、すっごく遠い存在だし、恋人とかそっこー無理だし、いいんだ、これからもレンジくん一筋でいくから!!
……でもね。ずっとそう思っていた。のに。いつのまにか、坂崎課長が、私の奥深くまで入ってきていて。
「追い出すの、難しいかも……」
ひとしきり、私は泣いた。
*
ピンポーン。
ドアのチャイムが鳴った。こんな時間に誰だろ。
私はティッシュで鼻をかんでから、乾燥したかぴかぴな鼻の下をさすりながら、インターホンへと移動した。
っていうか、Ama-zonで何か注文したんだっけ?
推し活はネットでポチることが多いので、何かしら注文したことを覚えてなかったりする。
カメラの画像を見る。
ん?
遠い目で見る。ん?
目を細めてみる。ん?
「え!? 坂崎課長!?」
なんでなんでなんで?
頭の中は????で埋め尽くされた。
すると、もう一度。ピンポーン。
慌てて「はっ、はいっ」
『あの、坂崎です。こんな夜遅くにごめん。少し話しがあって……少しだけいいかな……あっ! 部屋には絶対に上がらないからっ』
「はい、ちょちょちょっとお待ちください」汗
なんでなんでなんで???
焦りながらも鏡をチェック。ボサボサな髪を手ぐしで直して、深呼吸。ふーすーはーふーすーはー。
ドアを開けた。
「……ど、どうされたんですか?」
坂崎課長はいつものピシッとしたスタイルではなく、部屋着のような上下スウェット、サンダルみたいなものを履いている。髪も前髪が下りていて、いつもよりボサボサっぽい。
ん?
サンダルが左右反対のような気がして、少し気になった。側には一台の車がハザードを出している。
どうやら坂崎課長が運転してきたようだ。
「こんな時間にごめん。さっきは電話ありがとう。それでね、あの……これ見て欲しいんだ」
課長がスマホをポケットから取り出す。
動画を再生。
すると、『おいなんだこれは?』
杉田課長の声。
『なんかドンキーに売ってたのよ』
これは若狭社長。




