営業2課小山田咲の怪しげな行動 PART3
「社長秘書に……なってしまった……」
売り言葉に買い言葉。的な? なんで? 私? 引き受けた?
吐きそう。
どうしよう。どうしたらいい?
誰に相談する?
このどうしようもできないモヤモヤを誰にぶつければいい?
広報の橋立さんは今は営業2課の宮島くんとのデートがあると言っていたから邪魔はできない。
となると。
…………。
かちょ?
うん! それしかないでしょ!
私はスマホを取り出して、坂崎課長の名前をタップ。スピーカーONにして、反応を待った。
ガチャ。
『も、もしもし、坂崎です』
「課長、あの、今ってお時間大丈夫ですか?」
『あの、ね、今ちょっと取り込み中で、あ! ちょっとヤメロって……』
ガサガサガサガサ。
『ヤッホー!! おぉやまっださーん』
女性の声。あ、私、えらい時に電話しちまったやんけ!
『おい、杉田いい加減にしろって!! ごめん、小山田さん、杉田が今すげえ酔っ払ってて。ちょトイレにこもるから少し待って……』
ガチャガチャ。ふう〜っと課長のため息。
『ごめんね、それで用件はなんだったかな?』
私は焦ってしまって、何を相談しようとしていたのか、頭は真っ白になってしまっていた。
「あの。た、大した用じゃないんです。お邪魔してしまってすみません。また明日以降に掛け直しますので、今日は失礼、」
『待って! 切らないで! なにか相談だったんだよね? もうトイレにこもって邪魔者はいないから、話してくれないか』
ドンドンとノックの音。
「課長、彼女さん待ってますから、トイレから出てあげてくださいっ」
『彼女?……じゃないじゃない! ってか、俺、ほんと彼女いないから!』
「でも女性の声が……」
『あれ杉田だから』
「でも杉田課長はもっと野太い声で……」
電話の向こうから、『悠ちゃあーーん、おトイレ長すぎるわよーーー』と聞こえてくる。
「女性をお待たせするのも申し訳ないのでっっ。またかけ直しますっっ」
そう言って、ブチっと通話を切ってしまった。




