社長若狭の怪しすぎる行動
「え? ちょっと何言ってるかわからないんだけど!」
若狭社長ヤロウの、たった今放った言葉が信じられない。俺は耳を疑いつつ、その真を問うた。
「どういうことだよ? おまえのこと信じてたのに。どういうつもりだ!!」
「まあ坂崎の気持ちもわからんでもないけどな。これも会社の発展のためだ。承知してくれ」
要は小山田さんを異動させたいということだ。
それも、若狭の秘書に!!
俺は若狭の胸ぐらを掴むくらいの勢いで、若狭に詰め寄った。
「小山田さんは事務のプロフェッショナルなんだぞ!! どうして秘書なんかに!!」
「小山田さんが優秀なのは、坂崎も杉田も認めるところだろ? 評価に値するポストが必要だと思うんだ。言うなら事実、秘書の方が給料は断然良い」
若狭は、はあぁと深くため息をついた。
「前田さんが急に辞めることになったんだよ……」
「秘書の? どうして?」
「田舎の実家に帰るんだと。実家がやってる旅館が傾きそうなんだそうだ」
「……んーーそれは引き止められない案件だ」
「だろ?」
「でもだからって小山田さんって!! 俺らも困るよ。事務効率がガクッと悪くなるだろ?」
「んーーー悪くならないように、そこは考えるつもりだけどな。頼むよ、小山田さんレベルはなかなか見つからない。男性も考えたが、社員の向き不向きを考えると、これがまたなかなか見当たらないってわけ」
「……だからって」
「大丈夫だ、坂崎。俺は小山田さんを狙っていない」
はっきり言うな。でも男女の仲、どうなるかわかったもんじゃない。
「おまえが狙ってなくても、小山田さんがおまえをす、好きになっちゃうかもしれないだろ?」
「もうそうなった時点で、おまえの負けだよ」
くそっ、若狭相手に勝てる自信は、概算で97%ほど。概算で残り3%。概算では勝利だが、心配になってしまう。




