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103/202

*6

まずは、『手にキス』。


はあ? 頭おかしいのか?

『手』?

中世の騎士かっつーの。


次は、『ほっぺにキス』。

これはまあ、わかりみ。


「だけど、こんなん普通に家族でするだろ」


小さい頃は、俺もおかんに「ママだいちゅき」とか言って、チュってしてたなあ。


次!! ページをめくる。


『おでこにキス』


あーーーそう。下から三番目のやつしちゃったわけね。あーーーそう。ふうん。なるほどね。俺、一番二番すっ飛ばして、そこ行っちゃったんだ。


小山田さんはあまり気にしてない感じだったし、次っっっ。


『そして唇にキス』


バードキス

スウィングキス

ディープキス


ええ? これ18禁じゃないの? こんなこと書いていいの? 舌を絡ませる? 舌ってあの舌のこと?

読んでてこっちが恥ずかしいわ! ってかこんなことできる気がしない。

仕事より難しい。


「でもなあ……」


小山田さんの笑った顔が好きだ。思い浮かんでくる。水族館でこんなことがあった。


シャチに顔面スプラッシュ攻撃を受けた時、いつから用意していたかはわからないけれど、その瞬間さっと取り出していた日傘を、パンッと前にさして、ずぶ濡れを阻止してくれた。


それでも「濡れちゃいましたね」と、二人分のタオルを「これ使ってください」と差し出してくれた。


完璧じゃない? これってもしかして本当は彼氏がやらないといけないやつ。


「あ、ありがとう……準備万端だね」


俺、何やってんだろ。あれだけ水族館の飼育員さんのブログ読んだはずなのに、これっぽっちもこうなる状況を想像できなかったなんて。


準備不足は否めない。仕事の方がどれだけ楽か。けれど、これからはもっとできる男にならなければ。小山田さんに認めて貰えるような、頼られるような、そんな男に私はなりたい。(←人生の転換期)


「ずぶ濡れですね、ふふふ」


そう言って、小山田さんははにかむように笑った。あの笑顔に少しでも近づきたい。


俺は『愛の成就ムック』をパタンと閉じた。


キスのことも、小山田さんの了承を得て、段階的に進めていこう。がんばろ。


小山田さんの笑顔を胸に、俺は眠りに就いた。

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