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うわ。今さら来た。
顔がほてってくる。
気を逸らそうとした。
けれど。
それでも、どうしても考えが同じところに帰着する。
好きな子、か。
だとしたら、美香さんのように美人さんなんだろうな。
課長のことはもう、優しくて真面目な人だと知っている。
お姉さんがいないことも、嘘ついてごめんなさいと謝ってくれた。
坂崎課長の7つの不可解な行動には、何かしら理由があるようだ。それは悪意があってのことじゃないってわかったし。それぞれに課長なりの理由があるのだ。
そう考えると、ぐらぐら揺れてしまいそうなくらい、私は動揺してしまった。
その日私は何度も、おでこに触れた。
*
(……また触ってる。ってかあれって嫌だったのかな、それでゴシゴシ拭いてるんかなあ。だとしたら地味にショック)
クラゲが絡まってるのも見たし、ペンギンの滑りっぷりも堪能したし、顔面にスプラッシュ直撃したしで、なんやかやと楽しんでいる。
どさくさに紛れて、でこチュウしてしまった。
さすがに唇にキスは犯罪。そう思っておでこにしてしまったんだけど、どう考えてもそれもアウトだよな。
小山田さんはやたらおでこを触ってる。
(でも吸い寄せられちゃったんだよなあ)
言い訳だが。
可愛かった。
帰りに食事をしようと誘ってみたが、見事に断られた……その時も、小山田さんはおでこを押さえていたのが、気になって仕方がなかった。
俺は失敗したのかよ?
そのまま電車の駅で、反対方向へと別れ、家路に着く。小山田さんが家に無事着いたかどうか確認のLINEをし、俺も帰宅。
簡単にカップ麺を食べてから、俺は『愛の成就ムック』を手にした。
目次を見る。確かに『愛の成就ムック』には、キスのノウハウが書かれていて。まだ俺には早すぎる、段階を踏んでからでも遅くないと、敬遠してはいたが。
なんの気なしにキスの項目を覗いてみたら、えらいことが書いてある。
(なにこれエロ)
そういう知識はあって興味もあるが、自分の身に起きることだと認識していないため、足が遠ざかっていた。
だが、そこへ小山田さんだ。
もしかしたらもしかして。
万に一の確率で、あるかもしれない。し、ないかもしれない。が、急な展開であるかもしれない。し、ないとは言えないし、可能性としてはZEROではない。
俺はページをめくった。




