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100/202

*3

課長が苦笑いで、「タクシーでGOすればいいから」と、傾きながら歩く。


「あのさ、小山田さんが良ければ、この後ちょっと出かけない? 映画とか水族館とか」


「え」


映画? 水族館? その単語、あまり聞いたことはない。どちらもパリピな人々がデートで行くところではなかろうか?


「スポーチャでもいーし」


?? カラオケとかボーリングとかやるところという認識だが、よくパリピな人々、主にカップルが行くところ?


「あの……私、あんまりそういう場所に行ったことがなくて」


「結構、面白いと思うよ。そうだ、水族館なんかどう? クラゲ水槽で、よくクラゲとクラゲが絡まるらしいよ」


う。それはちょっと見てみたいかも。


「それに午後からのペンギンショーで、ペンギンが滑り台を滑っていく姿も可愛いみたいだし、スプラッシュショーでは、水を頭からかぶるか、顔に直撃くらうか、その日のシャチの気分によるらしいから、これも面白いらしいよ」(←飼育員のブログチェック済みの様子)


「それはすごく気になります」


坂崎課長にはダイソン並みの吸引力があるのだろうか。課長と一緒に水族館。とても惹かれてしまっている。


「今日はその……変装してないし、普通の服を着てきてしまって」


「むしろその方が……ってか、今日の服装、すごく可愛いし似合ってるよ」


おふ。課長にとっては通常運転なのだろうが、私にとっては……。


「あありありがとぅございやす」


「じゃあ決まり。行こうか」


そっと背中を押され、そのまま駅へと向かって並んで歩く。顔も頭ももちろん爆破。心も……


(なんかモノホンの恋人同士のデートみたい……)


頬が余計にほてってきて、私は唇を引き締めた。



「あらあ、ぐーぜんねえ」


聞いたことのある声に振り向くと、そこには坂崎課長の元カノと豪語する柴田美香さんのお姿が。


「私、ここのイメージガールやってるの」


かきつばた水族館のエントランス。ロッカーに重すぎる荷物を預けて、チケットを買った。(課長が代金を出してくれたが、ここでちょっとした押し問答あり「ちょっとここはあたしが出すからあ、いーのいーの、あたしに任せておきなさいよ! ほら!! あんたはそのお財布すぐにしまってちょうだいっ」等々)


「すみません、課長。奢っていただいてしまって」


「大丈夫だよ。俺、今日はファイブレグッズ2個しか買わなかったしね」とウィンク。


やっぱり課長はカッコいい。


でもそこで。美香さんに声を掛けられた。


「ウェルカムかきつばた水族館へ!!」


そう言って、グラビアポーズをとる。

課長をちらと見ると、口をへの字にして、不機嫌丸出しだ。


「ほんと面倒くさいな」


出た。久しぶりの、課長のつぶやき。職場じゃなくても出るんだね。私はその言葉を情報ガチャの中へと放り込んだ。


「私がご案内致しまあーす」


美香さんが、カモンと手招きする。だが、ここは課長が頑張った。


「いいよ、二人でのんびり観るから。邪魔しないでくれ」


「なによ、邪魔だなんて失礼な。だってあなたたち別に付き合ってるとかじゃないんでしょ? なら良いじゃない。ご案内しまあす」


「くそっ。おまえ相変わらずだな」


そしてあろうことか。


「言うのも面倒だったから言わなかったけど、俺ら実を言うと付き合ってんの」


肩をぐいっと抱き寄せられた。急なことで、ドキッと心臓が跳ねた。


「ね? そうだろ? 小山田さん?」


私が目を見開きながら、こくっと頷くと。


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