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10/202

*4

俺の胸が、なぜかキュと絞られた。


(そこまでのファンだったんだ……俺、意地悪だったか?)


もちろんコースターをクリップで挟んだのは、何を隠そう、この俺。もちろんわざとやったのだから、あんなガクブルな小山田さんの姿を見ると、少しだけ罪悪感。


俺はカバンから一冊のノートを取り出した。


(『冷たい態度も時にはスパイス』……は失敗……と)


書き記す。


(だけど、こんななまやさしい行動では全然ダメだ。もっと強烈なフックを喰らわせてやらなきゃ)


まだ小山田さんは震えている。生まれたての仔鹿のようだ。今度は探し当てたボールペンのペン先を出したりしまったりカチカチカチカチ……(永遠に続いてゆく)


まさしく放心状態を絵に描いたような。顔もぽけーってなっている。


(ははっ、そんなに落ち込むなんてな! こーんな奴のどこがいいんだか)


引き出しを開けた。ちびキャラアニメにされた、ファイブレのレンジを睨みつける。

そして、その目で小山田さんを見る。


(徹底的にやってやるからな、覚悟しろよ)


ふん、と鼻を鳴らして、引き出しをバシンと閉めた。



(睨まれてるう……めっちゃ睨んでくるう)


私の席から、坂崎課長の席は一直線。鋭い視線にいったん気がつくと、それは痛いくらいに刺さる。こんな視線、そらさざるを得なーい。


何でそんなに怒ってるん? そんなにコースター欲しかったん?

つか、だったら領収書なんかに間違えて添付してくんなや! ってか、どうやったら添付資料間違えるんだよっっっ。


腹立たしい。実に腹立たしい。


一瞬喜んじゃったじゃん。ファイブレのレンジくん!? ウェハースに続いてまさかの奇跡の出逢い、神さまありがとうっっつ! やったーーー!!ってね。


ぬか喜びさせやがって。


もうなんこれ坂崎課長の悪さと言ったらない。くっそーーー。あ、もう4時45分だ。ショックが大きすぎて、時間が光陰矢の如し。あーあ。やけ酒でもしたい気分。酩酊したい気分。


ただ、退勤する前に確認しておかねばならぬことがある。相手が相手だけに、気が重い。

だが、推しのためだと言うならば、私は闘いたい。

今夜TV放送の、『それファイブレにお任せあれ』を観戦するために、5時にはさっさと帰りたいので、一戦交える覚悟を決め、私は席を立った。


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