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78話 ブルーオーガとの戦い

今回と次回はシリアス回予定です。

 ダンジョン脱出まであともう一息というところで、平原の魔物達、さらにブルーオーガという強敵が揃って出現。

 他の冒険者を追っていたが、こちらに気づいた彼らが、魔物を引き連れた状態で向かって来る。

 おかげで戦いを余儀なくされた私達は、魔物達を迎え撃つ。

 

「畜生! 助けてくれーーー!!」

「貴方達! 逃げて!」


 冒険者達がそう言いながら近づいて来る。

 言いたいことはあるが、魔物の処理が先だ。


「まずは勢いを奪いましょうか。『氷弾アイスショット


 冒険者と魔物達が近づいて来た段階で、両者の間の地面に氷の弾丸を撃ち込む。

 山賊の時にも使った魔法だ。

 地面を凍りつかせ、先頭にいたファングウルフや、アサルトボア達の足を滑らせる。

 先頭が滑って転べば、後ろも混乱する。

 そのまま自分も滑るか、止まろうとして後続の邪魔になる。

 よし、これで動きを止められた。

 冒険者達もいつの間にか私達を通り過ぎたので、邪魔になるものは無い。


「ナイスよエレン! 次はあたしね! 汝に付き従う者、我が呼び掛けに答え主人を討て!『影の裏切りシャドウ・ビトレイヤル!』」

 

 動きが止まった魔物達に向け、アルテナは魔法を発動する。

 すると、魔物の影が刃のように変化し、自身を構成する主人を貫く。

 

『『『『『ギャァァァ!?』』』』』


 何が起きたか分からず自らの影に突き刺される魔物達。

 

「最後はミラが行くよ! 『金の雨(ゴールドシャワー)』!」


 ミラが金貨の雨を魔物に降らせる。(技はアルテナ命名)

 チャリンチャリンと落ちる音がした直後、ドォンドォンドォン! と金貨が爆発、魔物達を皆吹き飛ばした。

 

「ふ、他愛もないわね」

「油断しないでアルテナ。まだ一番厄介なのが残ってるわ」


 爆発が収まると、そこには無傷のブルーオーガが立っていた。

 アルテナとミラの攻撃が全く効いてないようだ。


『グォォォォォ!!』


「くっ……!」

「キャッ……!」


 再びブルーオーガは大きな唸り声を上げる。

 大地を揺るがすんじゃないかと思ってしまう程の声に、私とミラは怯んでしまう。


「エレン、ミラ、安心しなさい。あたしが華麗に倒してやるわ」


 私とミラを庇うように前に立ったアルテナは、デスサイズを出現させ、ブルーオーガに向かって刃を向ける。

 対するブルーオーガもアルテナを敵とみなし、武器である黒金くろがねの棍棒を肩に乗せ、こちらを睨みつける。


「……ええ頼むわ。こういう時しか出番ないしね」

「一言余計なのよあんたは」


 やはりこういう時のアルテナは頼もしい。

 私はサポートに、ミラは邪魔にならないよう後ろに引いたその時だった。


「おい待て! そいつは俺たちの獲物だ!」

「お前らなんかに取らせないぞ!


 既に何処かへ行ったと思っていた冒険者達が戻って来る。

 そして、大きな鎧を盾を装備したタンクと思われる男と、大きな両手剣を持った男がブルーオーガの前に立つ。


「ちょっとあんたら!? 邪魔すんじゃないわよ!」

「うるせぇ! 元々こいつは俺達が見つけたんだ!」

「雑魚に囲まれて逃げるしかなかったが、お前たちが倒してくれたからな。感謝するぜ、あいつ一体ならどうにかなる!」


 アルテナの静止も聞かない二人。

 遅れて弓使いと、魔法使いと思われる女性二人も戻って来る。


「安心しなさい! 私達はオーガだって倒したことあるんだから!」

「迷惑をかけっぱなしにしては、冒険者としてのプライドが許しません」


 そう言って、二人もブルーオーガと戦う体制をとる。

 どうやら引くつもりは無いようだ。

 

「オラァ! 行くぜ鬼野郎!」

 まずはタンクの男が大きな盾を構え突進。

 ブルーオーガの攻撃を受け止めるつもりのようだ。

 それを見たブルーオーガは巨大な棍棒を片手で振りかぶり、男に向かって振り下ろす。

 

 ドォォォォォォン!!!!!


 巨大な音と粉塵が巻き起こり、同時にプチッと何かが潰れるかのような音がする。

 粉塵が晴れると、そこには盾もろとも潰されたタンクの男がいた。


「「「な!?」」」


 冒険者達に動揺が走る。

 信頼したタンクが一撃で粉砕された。

 その事実に。


「クソ! これでもくらいやがれ!」


 横に回り込んでいた両手剣の男が大きく飛び、ブルーオーガの肩めがけて攻撃する。

 しかし、ガキンッ! っという音と共に攻撃は弾かれ、男の両手剣が折れる。


「は?」


 信じられないと言った声が男から出る。

 ブルーオーガは何かしたわけでは無い。

 ただ、皮膚あまりに硬かったため、剣が折れてしまったのだ。


「まだまだぁ! あたしの矢を喰らえ!!」


 弓使いの女性冒険者は、何かを塗った矢を弓にセットし、ブルーオーガ目掛けて放つ。

 おそらくあれは毒か何かだろう。

 皮膚で弾かれるんじゃ無いかと思ったが、女性が狙ったのはブルーオーガの目だった。

 なるほど、目なら刺さるかもしれない。

 そう思ったが……。


 カキンッ


 矢が軽く弾かれた。

 だが、狙いが外れたわけではなかった。

 ブルーオーガは矢を見切った上で、躱す必要もないと言わんばかりに、目を瞑って弾いたのだ。

 

「う、嘘……目を瞑っただけで防ぐとか……」

「まだです! 雷よ! 天より降りて敵を滅っせよ!『サンダーストライク』!」


 魔法使いの女性が魔法を発動すると、ブルーオーガの頭上に雷が落ちる。


『グォォォォォ!?』


 流石のブルーオーガも、雷によって苦しむ。

 ……だが、それだけだった。


『グォォォォォォォォォ!!!!』


 先程よりも大きく、殺気を込めた唸り声が響く。

 魔法はただ、ブルーオーガを怒らせただけで終わってしまった。


「そ、そんな……オーガなら……今の一撃で……倒せる……筈……」


 私は悟った。

 冒険者達はブルーオーガと普通のオーガとの差を、軽く見ていたのだ。

 そのツケが、今降りかかっていた。

 ブルーオーガは怒り、まず両手剣の男を棍棒で叩き潰そうとする。


『グォォォォォ!!!』

「ひぃぃぃぃ!?」

「全く情けないわね!!」


 ブルーオーガの一撃が命中する直前、アルテナが素早く男を捕まえ、助け出す。

 

「ほら、早く逃げなさい!」

「ま、待ってくれ……腰が……」


 アルテナが逃げるように言うが、男は腰を抜かして動けない。

 その間にブルーオーガの攻撃が、再び二人を襲う。


「ちっ! しょうがないわね! 迎え撃ってやるわ!」


 アルテナがデスサイズを構え、ブルーオーガの攻撃を迎え撃とうとしたその時。

 

「ひぃぃ!? 助けてくれぇぇ!?」


 恐怖で混乱した男がアルテナに抱きついて来る。

 

「バカ!? あんた邪魔よ! やば……!?」


 アルテナは咄嗟に男をの服を掴み、こちらに向かって投げる。

 しかし、アルテナが回避するタイミングが失われてしまい、そして。


 ドォォォォォォン!!!!


「アルテナ!?」

「アルテナ様!?」


 回避できなかったアルテナは、まともにブルーオーガの一撃を喰らい、潰されてしまう。

 そして粉塵が消えた後、私の目に入ったのは、血を頭から流し、ぐったりしていたアルテナの姿だった。

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